300人を部下に持つレンタルビデオショップの店長は、部下全員の名前を知っています。その店はごくわずかな正社員と、あとはほとんど学生のアルバイトで占められています。それでも彼は全員の名前を知っていて、ひとりひとりを名前で呼びます。 それだけではありません。その学生ひとりひとりの将来のビジョンも聞いています。卒業してどんな仕事をしてみたいか、なにになりたいのかについて。 もちろんうまく話せないアルバイトもいるのですが、自分の夢を聞かれることで、関係は密になるといいます。また彼らの将来に対するビジョンを聞くことで、仕事を振るときも、それを考慮して振るそうです。
彼は売り場をまわりながら、 「風邪治った?」 「最近の仕事の自慢はなに?」 と聞いてまわります。 アルバイトの仕事が終わって帰るときに5分ほどの終礼を持ちます。そこで彼は、 「今日した活躍はなに?」 「お客さんに喜んでもらえたことはなに?」 「喜んでもらえるアイディアある?」 などと問いかけ、彼らからさまざまなアイディアを引き出します。そして、そこで出てきたアイディアをすぐに取り入れるのです。 たとえば、「リサイクル売場」と命名していたフロアについて、アルバイトさんから、「中古売場」のほうがわかりやすいのではないか、という意見が出たのだそうです。そこですぐに、そのアルバイトさんをキーパーソンにして、店頭調査を行うことを決め、次の日には、300名の人に店頭アンケートを実施したのです。アルバイトは、自分の意見が取り入れてもらえること、自分の力が発揮できることをとても喜びます。 その結果、アルバイトの定着率はよく、正社員と変わらない働きをしてくれるそうです。この話をしている間、彼はずっと「アルバイトさん」と言いました。部下について深く知っているだけではなく、人に対するリスペクト(敬意)を忘れていないのです。 (『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
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June 05, 2020 at 08:34AM
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