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Thursday, June 25, 2020

高精細映像で“視界共有”、キヤノンITSが遠隔業務支援サービス発表 - ASCII.jp

現場作業者のカメラ映像を遠隔監督者に転送、多様な業界の現場業務に活用可能な「VisualBrain」

2020年06月26日 10時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2020年6月26日、遠隔業務支援サービス「VisualBrain」を発表した。発売は7月1日。独自方式による高精細な画像/動画の転送によって、建設現場の進捗報告や設備/機器メンテナンス、生損保会社の現場査定など、幅広い業務において現場作業者と遠隔指示者とのコミュニケーション品質を向上させるサービス。電波の届かない現場でのオフライン撮影や、撮影画像/動画のクラウド保存/一括管理といった機能も備える。またAPIによる他システムとの連携も可能。

キヤノンITS「VisualBrain」の概要。遠隔の指示者に現場作業者の“視界を共有する”サービス

 VisualBrainは、現場作業者がiPhone/iPadや外部モバイルカメラ(オプション)で撮影する現場の写真や動画を、遠隔の監督指示者がWebブラウザ(Chrome)でリアルタイムに確認し、音声会話を通じて作業指示などを出すことができる“視界共有”サービス。NTTコミュニケーションズが提供するWebRTCプラットフォーム「SkyWay」をベースに開発されている。

 現場作業者と遠隔指示者は、クラウド上の「ルーム」と呼ばれるサーバーを介して接続される。1ルームには最大で5ユーザー(現場作業者×4、遠隔指示者×1)が同時接続でき、遠隔指示者側のWebコンソールには、複数作業者の写真/動画が同時に表示される。

遠隔指示者用のWebアプリ、現場作業者用のiOSアプリの画面イメージ。指示者側では最大4人の画面を一覧、切り替えできる

 ルームには「ビデオモード」「イメージモード」という2つのタイプがあり、購入時に選択する方式。ビデオモードではWebRTCプロトコルを使った一般的な動画ストリーミングを行うが、イメージモードではキヤノンITS独自の動画転送方式を採用し、通信状態が悪く低帯域のモバイル接続であっても高精細な動画を転送できる。具体的には、1秒間に1コマという“コマ送り”のような映像にすることで、動画としてのなめらかさを犠牲にしつつも、細部が見えなくなる画像劣化を抑止するという。

 キヤノンITSによると、現場作業者と遠隔指示者をつなぐ同様のコミュニケーションツールは多く存在するが、上述したような画質劣化が生じるために、たとえば「遠隔指示者側でメジャーの目盛りや機器の表示盤が読み取れない」といった課題の声が聞かれたという。こうした声に応えて、キヤノンITSでは独自方式のイメージモードを開発した。

 またモバイルの電波が届かない現場を考えて「オフラインモード」も用意している。これはオフライン状態で撮影し、iPhone本体に記録した写真や動画を、作業完了後(オンラインへの復帰時)にクラウドへアップロードできるというもの。これにより、作業場所を問わずにVisualBrainを活用することができる。

 オプションとして、ウェアラブルカメラのキヤノン「MM100-WS」と連携することもできる(イメージモードのみ利用可能)。MM100-WSが撮影した写真/動画をWi-Fi接続でiPhoneに転送し、それを遠隔指示者に送信する仕組みだ。カメラをハーネスやヘルメットなどに取り付けられるため、高所作業中などでもハンズフリーで視野を共有できる。

オプションとしてウェアラブルカメラを利用することで、現場作業者がハンズフリーで映像を送信することが可能になる

 なお、撮影された写真/動画はクラウド上で一元管理される。Webインタフェースから日付指定などで対象ファイルを検索し、ダウンロードすることが可能。さらにWeb APIも備えており、他の業務管理システムとの連携もできる。高精細が写真/動画が蓄積されるメリットを生かし、AI/機械学習技術と組み合わせて、ビル外壁や道路、重機や生産設備の劣化診断などに活用することも考えられる。

 VisualBrainの適用業務例として、キヤノンITSでは生損保会社における査定業務、電力業の高所作業指示、建設業の進捗確認、官公庁の災害現場状況把握、教育/スポーツのリアルタイム遠隔指導などを挙げている。

ユースケースの一例(損害保険会社の動画遠隔支援)。ほかにもさまざまな現場におけるリアルタイムでの状況確認や指示のほか、作業完了報告や現場の証跡保存などにも活用できる

 VisualBrainの価格(税抜、現場作業者×1、遠隔指示者×1の構成)は、イメージモード/ビデオモードとも初期導入費用が10万円から、また月額利用料が8万円から。現場作業者の同時接続台数を増やす場合は、イメージモードで1万円/台、ビデオモードで5万円/台が追加でかかる。また動画保存(録画)オプションは、月額10万円/ルーム(月間合計80時間まで)となっている。

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