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Sunday, July 24, 2022

よく聞く「ヒートアイランド現象」ってなに!? - ウェザーニュース

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2022/07/25 07:28 ウェザーニュース

記録的に短かった梅雨が明けて猛暑日が目立つようになったこの時季、天気予報などで「ヒートアイランド」という言葉をよく耳にするようになります。

都市部の気温が郊外に比べて高くなる現象と説明されていますが、具体的にどのような仕組みでヒートアイランドが起こるのかなどについて、ウェザーニュースの気象予報士、山口剛央(やまぐち・たけひさ)が解説します。

ヒートアイランド現象とは

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ヒートアイランドとはどのような現象をいうのですか。

「ヒートアイランド(heat island)は英語で『熱の島』という意味で、都市の気温が周辺よりも高くなる現象をいいます。気温の分布図を描いてみると、高温のエリアが大都市を中心とした『島』のように見えることから名づけられました。

この現象が確認されたのは案外昔で、19世紀のロンドンやパリなどヨーロッパの大都市で、すでにヒートアイランド現象が起きていたことが報告されています。

現在の関東地方では、東京、埼玉、千葉の都市部を中心として、島状の高温域が群馬、栃木の南部にまで広がっています。

たとえば気候や地形などの自然条件が東京と同じエリアがあると仮定して、そこに大都市が存在しなければ“ヒートアイランド現象、つまり気温の上昇は起きない”といえるかもしれません。

日本各地で都市化が進むにつれて、ヒートアイランド現象もあちこちで観測されるようになりました。気温の上昇で熱中症などの健康被害や、蚊の生息期間が延びることによる感染症の増加などが懸念されています」(山口剛央)

ヒートアイランド現象の原因

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都市化が気温の上昇を招くのは、どんな理由からなのでしょうか。

「まず、エアコンの室外機や自動車、工場やごみ焼却場などによる高温の排気が都市化によって増えることが挙げられます。これを『人工排熱の増加』といい、都市部の大気を暖めてヒートアイランドの大きな要因の一つになっています。

緑地や水面の減少も大きな要因です。都市化が進むにつれて、山林に加えて田んぼや畑の面積が減っていき、『地表面被覆の人工化』が進みます。

植物の『緑』は水を吸収し、気温が上がったときに地面や空気の熱を奪いながら蒸発していきます。さらに河川や湿地などの埋め立てが進むと水面からの蒸発作用が失われて地面や空気の熱がこもったままになってしまうのです。

都市化が進むとコンクリート製の建物やアスファルト舗装の道路の比率が高まってきます。これも『地表面被覆の人工化』で、コンクリートやアスファルトは熱をため込みやすい性質をもっているので、夏場の日中には表面温度が50~60℃まで上昇します。これによって大気が加熱され、周辺の気温も含めて夜になっても温度が下がらない状態が続くようになります。

また『都市形態の高密度化』といって、ビルなどの建物が密集することで風通しが悪くなり、熱がこもってしまうこともヒートアイランド現象が発生する大きな要因になっています。

建物の密集はさらに『天空率の低下』ももたらします。天空率とは地表から空が見通せる割合をいいますが、ビルの谷間といえる場所から見上げると、空はほとんど見えなくなっています。この天空率が小さい状況が気温を下げる要因となる夜間の放射冷却を妨げ、昼間にため込んだ熱を翌朝まで抱え込んだ状態をつくってしまうのです」(山口剛央)

日中より夜間のほうが影響大

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熱帯夜が増えるなど、夜のほうがヒートアイランドの影響が大きいように感じられますが。

「関東地方を例にした都市化の影響の調査によると、8月の夜間(5時)と日中(15時)では、夜間のほうがヒートアイランド現象による気温の上昇が顕著だったという結果が示されています。そのため、暑く寝苦しい夜が続いてしまうのです。

日中は『混合層』という空気がよく混ざり合った、地表近くから数百から千数百mに至る大気層が発達しやすいので、『余剰熱』という都市部にたくわえられた熱が上空に拡散されやすくなります。これに対して夜間は混合層の発達が弱いため、余剰熱が地表に近い部分に集中してしまうのです。

さらに天空率が小さい都市部では放射冷却が妨げられることもあり、夜になっても地表面の温度が下がらず、ヒートアイランド現象がそのまま消滅せずに翌朝を迎えることになります。このときの地表面の気温は、都市がない状態に比べて3~4℃程度高く、とくに深夜0~1時頃に気温差が最も大きくなるといわれています」(山口剛央)

東京の気温上昇は100年で3.2℃

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ヒートアイランド現象によって、都市部の気温はどのぐらい上昇しているのでしょうか。

「都市部に住む人口の割合を『都市化率』といいますが、日本で最も高いのが東京の92.9%で、大阪の92.1%、名古屋の89.3%がこれに続きます。1927年から2018年までのデータを基に100年あたりの気温上昇度を求めると東京が+3.2℃、大阪が+2.6℃、名古屋が+2.8℃となります

都市化率が47.2%の新潟の2.0℃、54.6%の広島の1.9℃に比べて、高い上昇といえるでしょう。さらに北海道網走市から沖縄県石垣島にかけての、『都市化の影響が比較的小さいとみられる』15地点の都市化率16.2%の1.5℃と比べると、大都市のヒートアイランド現象による気温の上昇が、極めて高くなっていることがわかります。

世界の大都市でも同様の傾向がみられ、この100年間でニューヨーク、パリ、ベルリンでも東京ほど顕著ではないものの、世界平均を上回る2℃前後の気温上昇が確認されています」(山口剛央)

ヒートアイランド現象を個人の力で抑えるのは難しいことのようですが、“小さなことからコツコツと”、この夏は節電・省エネ対策を進めていきましょう。もちろん、熱中症予防のため、体に過度な負担をかけないよう心がけてください。

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参考資料など

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