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Monday, November 14, 2022

どうなる? イーロン・マスクという“ツイ廃”が導く混沌のTwitter - ITmedia NEWS

apaituberita.blogspot.com

 現在、イーロン・マスク氏によるTwitterの改革が進められている。CEO就任直後に旧経営陣のほとんどと、約3700名の社員を解雇し、有料プラン「Twitter Blue」の価格を8ドルに改定し、「認証バッジ」の意味合いも変えた。

米サンフランシスコのTwitter本社(11月6日に筆者撮影)

 では、彼はなにをしようとしているのか? そして、Twitterはどうなろうとしているのだろうか? 少しその辺を考えてみよう。

マスク氏という「ツイ廃」が導く混沌のTwitter

 正直な話をすると、イーロン・マスク氏が本当のところなにを考えていて、Twitterをどのような存在にしようとしているのか、分からない。「そんな無責任な」と言われそうだが、分からないものを無理に「分かった」とするのは間違いなので、素直に「分からない」としておく。

 現在のTwitterは混沌(こんとん)としている。大手企業が広告出稿を停止したのは、その混沌さを嫌ったからに他ならない。「分からない」「混沌としている」という状況は、本質的にはあまり好まれないものだ。

 では、マスク氏が現在の混沌を目指していたのかどうか? これは「おそらく」という留保付きだが、狙っていた部分があるだろうと思う。

 ただし、それまでのTwitterが澄んだ水のような状況だったか、というとそんなことはない。むしろ「非常に不透明」であり、マスク氏はその不透明さを嫌っていた。だから、あえてTwitterを揺さぶり、かき回して、あえて混沌とした状態を作り出した上で、不要なものやよくないものを沈殿させ、彼が住みやすいTwitterを作ろうとしているのかもしれない、とは思う。ご存じのように彼は、世界有数の「ツイ廃」だからだ。

買収前からTwitterは「不透明」だった

 買収前のTwitterがどう不透明だったのか?

 誤解されると困るのだが、別に「偏向していた」「不公正な取引が横行していた」ということではない。基準が曖昧だったのが問題なのだ。だから「濁っていた」のではなく「不透明だった」と書いたのである。

 例えばツイート表示の仕組み。

 Twitterは「ホーム」表示にしておくと、同社のおすすめツイートが順に表示されるようになっている。多くの人はこの設定になっているのではないだろうか。時系列に沿っているわけでもなく、フォローしたツイートが全部出てくるわけでもない。いろいろな話題が出てくる=ツイートの話題量が最大化するようになっている、といわれていたものの、どういうルールでそうなっていたかを正確に把握している人は皆無だ。

 それを嫌い、筆者は時系列でツイートを並べる「最新ツイート」設定に変えていた。

 マスク氏がCEOになり、レイオフが行われると、「ツイートの内容が変わった」という人々が出始めた。「ホーム」表示でのツイート選別、いわゆる「キュレーション」に関わる人が減り、機械的な選別だけになったからだろう、といわれている。一方、本当にかわったのか、どこが変わったのかはよく分からない。事実「最新ツイート」設定にしていた筆者には、ほとんど何も変化がないように思える。

 また、「Twitterは『表に出さずに特定のツイートを消している』と主張する人もいる。俗に「シャドウバン」と呼ばれるものだが、これも「なくなった」「表示されるようになった」という人がいる。

 正直なところ、これもちゃんと証明された話ではない。見えないツイートがあったかもしれないが、それが本当に「シャドウバン」だったのかも、もはや分からない。優先度設定によるものかもしれないし、年齢制限によるコンテンツの扱いを変えた時にバグが発生し、その結果見えなかったのかもしれない。

 重要なのは確認できず、基準も示されず、よく分からない状態がTwitterには存在した、ということだ。ルールとして定められているように見えた「アカウント剥奪」も、本当の意味でどう運用されていたのかは、正確なところが分からない。

「トレンド欄」はどう運営されていたのか

 いわゆる「トレンド」欄も変化した。一部のニュースサイトが表示されづらくなり、同じエンターテインメント系の話題が複数表示されることも増えたように思う。

 この点について、「Twitterが一部のニュースメディアと結託し、世論を誘導しようとしていた操作がなくなった」という人がいる。確かに、表示されるメディアやニュースの傾向は変わったように思えるが、それがなぜなのかは、結局現状では分からない。

 これらの問題は全て、Twitterが内部でどのような基準を使い、どう表示をコントロールしていたかが「分からない」「基準が示されていない」ことによって起きている。

 筆者の私見としては、一部の人が主張するほどTwitterの表示は「変わっていない」ように感じるし、これまでのTwitterが世論誘導をしようとしていた、とは思っていない。

 だが実態として、トレンドとして表示されるニュースは、ニュースを提供するWebメディア側からの売り込みに応じて選択されるものと、話題になっているから表示されるものの両方があり、その双方が混在し、利用する側に区別がつきづらい状態であったのは間違いない。

 レイオフの結果として、人力でキュレーションに対応していた人々は減り、メディアから売り込まれたニュースをキュレーションして反映されることも減った関係上、一部のニュースはより表示されにくくなっている。

「場はメディア」、Twitterにコントロールは不要なのか

 Twitterが不明確な基準で場をコントロールしており、レイオフ後にコントロールが弱くなった結果、Twitterの様子が変わったように見える……ということはあるのだろう。そして、その「基準の不明確さ」に課題があったのは間違いない、と筆者は考えている。 では、本当に今の状態が良いのか? このまま進んでいくのが良いのか? そこも「ノー」であるように思う。

 キュレーションなどで場をコントロールするのは、Twitterに「メディア」としての役割があったからだ。ただそういうと「Twitterはコミュニケーションの場であり、メディアではない」という反論が出てくるだろうとも思う。

 しかしそれは違う。人が集まり、注目を生み出す場であれば、そこは必ず「メディア化」するのだ。2ちゃんねる(現5ちゃんねる)も、mixiも、Facebookも立派なメディアだ。人々の会話は注目を生み出し、注目は必ず人を惹きつける。

 全てをソフトウェアの判断に委ねたとしても、そこに意図が介在しないと考えるのは難しい。ソフトウェアのフィルターでも対話の方向性が生まれることはあり、結果としてそれが「場の色や空気」になってしまう場合はある。

 また、特定の強い思想がある人が参加することで、場に思想性がにじみ、人々を特定の行動へ駆り立ててしまうこともある。2020年のアメリカ大統領選挙に伴う2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件や、コロナ禍での反ワクチン運動などがそれにあたるかもしれない。また、特定の差別につながるような行動も、すべてを利用者の善意に依存していては防げない。そのため現状では、アメリカにしろ日本にしろヨーロッパにしろ、SNSに「場として、メディアとして果たすべき最低限の責任は果たさせるべきでは」という論が強くなっている。

 SNSが必然としてメディア化するのであれば、なにかのコントロールは必ず必要になる。以前のTwitterはそれをやろうとしていた。だが、その基準は場当たり的な建て増しで、外部に明確なルールも示されていなかったので、そこに不満を持つ人は少なからず存在した。

 そしてまさに不満を持ち、お金も持っているツイ廃こそがイーロン・マスク氏だった……ということなのだ。

 冒頭で述べたように、マスク氏が不満をどう解決していくのか、正確なところは分からない。このままコントロールやキュレーションを最低限としてやっていくのかもしれない。

 一見それは自由で良さそうにも見えるが、前述のように、コントロールすべき状況が生まれた時に、どう対応するのだろうか。

 混沌な場を目指すならそれでいいが、混沌に「単価の高い広告」はなかなか馴染まない。必然として、広告での収益拡大は難しくなる。有料サービスの比率を高める、としているのはそのためかもしれない。

 どちらにしろ、やっぱり冒頭で述べたように「分からない」という答えになる。毎日のようにいろいろな方針が語られるので、混沌が落ち着き、新しいTwitterという液体の「色」を判別するには、もう少し時間がかかりそうにも思えるが……。

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