その石碑には約5500人の兵士の名前と、生没年が刻まれていた。
ロシアと国境を接するフィンランド南東部の町、ラッペンランタ。かつて旧ソ連の侵攻で多くの犠牲者を出した歴史を持ち、こんな言葉が人々の間でささやかれてきた。「熊を起こすな」――。
しかし今、ロシアによるウクライナ侵攻が大きな変化をもたらしているという。戦争の影が差す国境の町を歩いた。
後編は7月7日午前6時にアップ予定です
亡き息子を抱く母親像
遊歩道を散策する人々を、夕日が優しく染める。
ラッペンランタはフィンランドで最大の湖、面積約4400平方キロを誇るサイマー湖沿いにある港町だ。
穏やかな雰囲気からは想像しにくいが、市街地はロシア国境までわずか25キロ。市役所前の広場にはウクライナへの支持を示すウクライナ国旗がはためく。
広場の西隣は墓地で、入り口には亡き息子を抱く母親の像があった。
「この墓地では毎年5月のメモリアルデーに人々が集い、ろうそくをともします」
2018年からこの地に住む教師のムハンマドさん(55)が案内してくれた。
メモリアルデーは、第二次世界大戦で犠牲になった人たちを悼む日だ。
入り口に建つ母親像は、戦争で若くして命を落とした兵士の母親をモチーフにしている。その像を囲むように、約70メートルにわたって石碑が並ぶ。
碑に刻まれているのは、旧ソ連がフィンランドに侵攻した冬戦争(1939~40年)と継続戦争(41~44年)の犠牲者たちの名前。ある兵士は19歳という若さで生涯を終えていた。
ムハンマドさんによると、…
からの記事と詳細 ( 「熊を起こすな」に異変 フィンランド・ロシア国境の町から/上 - 毎日新聞 )
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