普段わたしたちが見ているファッションのスタイリングは、あらかじめスタイリストによって用意されたものが大半ですが、今回取り上げる書籍はその逆方向というか、わけが違います。
スタイリングとは、写真とは、ドキュメントとは、ひいては人間が服を着ることとは、さまざまな事柄について、著者である小山田孝司さんの視点を通して考えたくなる、そんな1冊です。
タイトルは「なにがみてるゆめ」。今年の8月11日に「Dog Years」より発行されました。
スタイリストの小山田さんが2020年1月からスタートした企画で、友人・知人たちに声をかけ、彼、彼女らを被写体に撮影を開始しました。この作業は2023年5月まで断続的に繰り返され、最終的に被写体の数は287名、撮影を担当した写真家は22名にのぼりました。
撮影は被写体が生活を営む土地や小山田さんとともに訪れた場所で敢行。被写体のその日のコーディネートに、小山田さんが集めた服や装具をそっと一点だけ加えて撮影された写真群は、ポートレート/ファッションスナップ/ドキュメントのあいだをゆるやかに縫いつけては解いていきます。
ちなみに「なにがみてるゆめ」という書名は、プレイステーションのロールプレイングゲーム「クロノ・クロス」内の一節からインスピレーションを得て名付けられたとか。
見えているが、存在しないなにか。見えているのは、夢なのか。その夢を見ているのは、なんなのか。自己と他者、現実と虚構が揺らぐ境界を見つめつづけるものとしての小山田さんの視線を、ぜひ本誌で感じてください。
そしてこのたび青山ブックセンターでは、本誌の取り扱いを記念しトークショーが決定しました。登壇するのは小山田さんと、作品内で被写体としても参加しているスタイリストの伊賀大介さん、梶雄太さん、そして編集・ライターの長畑宏明さんの4名。本誌にまつわることやその周辺のこと、はたまた全く関係のない話まで、話題は多岐にわたるでしょう。
トークショーには事前のチケット購入が必要です。気になる方は、ぜひ青山ブックセンターのこちらのサイトからご購入を。
スマホをスクロールすればファッション写真やそうでない写真が大量に流れてくる時代のなかで、本誌はあらためてスタイリストのピュアな視線やファッションのおもしろさを考えさせてくれる機会となるはずです。ぜひお買い求めのうえ、トークショーに足をお運びください。
からの記事と詳細 ( スタイリスト小山田孝司の著書『なにがみてるゆめ』。青山ブックセンターでの刊行記念トークショーに伊賀大介、梶 ... - HOUYHNHNM(フイナム) )
https://ift.tt/iBmqawN
No comments:
Post a Comment