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Sunday, February 23, 2020

新型肺炎のリスク共有も具体策なし…感染が続けばG20批判に拍車 - SankeiBiz

 23日閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、共同声明に新型コロナウイルスの封じ込めや景気下支えの具体策は盛り込まれなかった。感染拡大が世界経済を下押しする恐れがあるとの認識で一致したものの、肺炎の震源地である中国の閣僚や中銀総裁は欠席。各国が十分な協調体制を築けないまま感染拡大が続けば、G20が形骸化しているとの批判に拍車がかかりかねない。

 新型肺炎の拡大は中国の経済活動の停滞を招き、日本や世界経済にも深刻な打撃を与えかねない。国際通貨基金(IMF)は22日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界経済の成長率見通しを0.1ポイント前後引き下げた約3.2%に修正。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、感染拡大により「日本の経済成長率を平成23年の東日本大震災並みの2.9兆円規模下押しされる可能性がある」と指摘する。

 会議には新型コロナウイルスの発生国である中国の中銀総裁らは欠席し在サウジアラビア大使らが出席。G20閉幕後、麻生太郎財務相は「わかっている人が来ていないんだから、聞きようがない」と語った。実際、当事者抜きでの会議にどれほど実のある議論ができたかは不透明だ。

 G20はアジア通貨危機後の1999年に先進国と新興国が協調して世界経済の安定化を図るために発足。リーマン・ショックを受け2008年に首脳会議(サミット)も開かれるようになった。ただ、利害が多国間にまたがる懸案では対立を避けて無難な結論に落ち着くことが多い。困難な課題に各国が手を取り合って解決策を探るという意義が見えにくくなっている。

 G20サミットは当初、首脳宣言で「反保護主義」を明確に打ち出していたが、17年のトランプ米政権の誕生後は自国第一主義を掲げる米国の動きを止められず、宣言からは反保護主義の文言が消えた。

 今回も中国不在の中、新型コロナウイルスに対し有効な処方箋を示せたと言えるのか。麻生財務相によれば、日本での新型肺炎の感染拡大について、各国から懸念の声は出なかったという。しかし、感染拡大が続けば、日本が国際社会から責められる恐れもある。感染拡大を食い止め、世界経済の腰折れを防げるかはG20の結束にかかっている。(リヤド 林修太郎)

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