教えて先生! つみたてNISAのA to Z
2021.12.22
複利について詳しく知らないことに気付いたたておさんは、FP(ファイナンシャルプランナー)に複利効果の意味とメリットを聞いてみました。
長期・積立投資のメリットをまずはおさらい
つみたてNISAの特徴のひとつでもある「長期・積立投資」には、以下のようなメリットがあります。
リスクを抑えて運用できる
たとえば100万円を運用する場合、短期投資では短いスパンで100万円を投資するので、直後に価格が下がった場合、大きな損失を被るおそれがあります。
一方、毎月5万円ずつを20ヶ月にわたって投資した場合、そのうち5ヶ月間で値下がりしたとしても、残り15ヶ月間で価格が上がっていれば、トータルではプラスになります。
特につみたてNISAの場合、値動きにかかわらず毎月一定額を投資する仕組みになっているので、一回あたりの買付額が平準化され、リスクを抑えて運用することができます。
複利効果で大きな運用益を期待できる
複利効果とは、運用益を再投資することで利益が増幅していく効果のことです。
投資信託を保有していると、運用実績に応じて分配金が支払われますが、これを元本に組み入れて再投資すれば、「利益が利益を生む」状態を作り出すことができます。
さらに、通常の投資では利益に対して20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAでは複利効果で得られた利益のすべてが非課税になるメリットがあります。
「複利」と「単利」の違いって何?
この金利には「単利」と「複利」の2種類があり、性質が大きく異なります。
まず単利ですが、商品に投資した元本に対して付加される金利のことです。
※500万円を元本として金利3%で運用した場合
一方の複利は、投資によって得た運用益を組み入れた元本に対して付加される金利のことです。
着実に運用益を生み出していれば、それに比例して元本もどんどん増えていくので、同じ元本・利回りで運用した場合、単利よりも資産を増やすことができます。
※500万円を元本として金利3%で運用した場合
将来の目標に向けて、より効率的な資産運用を目指すのであれば、単利よりも複利効果を狙える投資商品を選んだ方がよいでしょう。
投資商品を選ぶ際は、利回りだけでなく、単利か複利かもあわせてチェックするようにしましょう。
つみたてNISAはどうして複利効果が大きいの?
ただし、つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための制度ですので、資産運用にあたっては分配金を受け取らず、元本を増やして複利効果を得ることを推奨しています。
投資対象商品も「分配頻度が毎月でないこと」が条件の1つになっていることから、一部を除き、ほとんどの商品が分配金を支払わない「無分配型」となっています。
無分配型の投資商品では、運用益は自動的に元本に組み入れられて再投資されるため、つみたてNISAの運用期間中は、継続的に複利効果を得ることができます。
さらにつみたてNISAの場合、毎年の新規投資額を40万円以内に収めれば、運用益に対して税金がかからない「非課税投資枠」が設けられています。
通常の投資信託であれば、運用益に対して20.315%の税金を納めなければなりませんが、つみたてNISAなら利益が丸ごと残るので、複利効果をそのまま得ることができます。
つみたてNISAの複利効果をシミュレーション!
まず、単利の場合は運用益は元本に組み込まれません。単純に毎年の元本に対して利息が付く仕組みになっています。
以下、毎年40万円を運用益5%の「単利」で運用した場合のイメージをみてみましょう。
先ほどと同じ条件で「複利」にした場合の運用イメージは、以下の通りです。
さらにつみたてNISAの場合、年間40万円までの新規投資額から得られる運用益は非課税になるため、より元本が増えやすい仕組みになっています。
まとめ
複利は長期運用によって元本が増えるほど効果が大きくなるので、つみたてNISAで資産運用するのなら、なるべく長く運用することを心がけましょう。
なお、つみたてNISAの非課税期間は最長20年間ですが、投資を始めてから20年間ではなく、毎年の新規投資額に対して20年間の非課税期間が設けられます。
たとえば2021年につみたてNISAを開始した場合、2021年に投資した分の運用益は2041年まで非課税となりますが、その翌年の2022年に投資した分の運用益は2042年まで非課税となります。
ただ、つみたてNISAの投資可能期間は2042年が最終年となっていますので、時間を味方につけて複利効果を大きく得るためにも、早めに投資を開始することをおすすめします。
※2021年12月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
- 執筆:金子 賢司
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