◇メジャー第1戦◇マスターズ 3日目(9日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7510yd(パー72)
最終日に引きずりかねないミスにも、隣の男は動じなかった。最終18番、スコッティ・シェフラーの1Wショットはティイングエリア前方の左の林に消えていった。「なにが起こっているんだ…」。25歳の心は揺らぐ。それを支えるように、キャディのテッド・スコットは「大したことじゃない。出せばいいさ」と事もなげに言った。
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「テディは本当に穏やかな人なんだ。リアクションがほとんどない」。木々の間で見つかったボールは打てずにアンプレヤブル。ドロップ後の3打目がスーパーショットになった。残り約250ydの打ち上げ。枯れた松葉の上でアイアン型UTを振りぬくと、ボールはピン方向に飛び、グリーンの奥まで転がった。パターでの4打目もきっちり1mに寄せ、1パットで締めくくった。
「本当に良いショットができて、素晴らしい“寄せワン”になった」。ボギーで終われたのは、間違いなく日曜日の活力になる。6バーディ、5ボギーの「71」で通算9アンダーと1つスコアを伸ばした。一時は通算11アンダーに到達していたとはいえ、3打のリードを持って運命の18ホールを迎えられる。
2月「WMフェニックスオープン」での初勝利からすでに3勝。エリート街道を歩んできた2020年の新人王が、世界ランキング1位に上り詰めるまでのこのわずかな期間にはスコット・キャディのアシストが欠かせなかった。
昨年までの15年間、バッバ・ワトソンのバッグを担ぎ12勝をサポートした。その中には2012年、14年の「マスターズ」でのタイトルも含まれる。「コースで素晴らしい仕事をしてくれる。一生懸命でほとんどミスがない。この場所でのガイドに全幅の信頼を置いているし、経験豊かなことも知っている」とシェフラー。新たな名物コンビが頂点にたどり着く。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)
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