高級ミニバン市場を開拓したのはエルグランドだが、今やその座をアルファードに奪われてしまっている。日産からすると超絶悔しいはずだが、フルモデルチェンジされぬまま10年以上も経過。
だからこそ新型モデルに期待が集まるワケだが、一体エルグランドに足りないモノってなんなんだ!? 新型エルグランドはe-POWER化もウワサされているが、可能ならば価格を抑えたガソリンモデル。そして内装の高級感アップなどなど、挙げたらキリがないが、マジでどうしたらアルファードからその座を取り戻すことができるのか。
文:吉川賢一/写真:ベストカーWEB編集部
【画像ギャラリー】2023年は新型アルファードとエルグランドが!? その姿がコチラ(6枚)エルグランドまさかの月販100台……アルファード大ヒットの裏で超厳しい戦いに
売れ筋グレードが税込470万、購入総額では500万円近くにもなるラージサイズミニバンながら売れに売れまくっているトヨタ アルファード。ラージサイズミニバン界を独占しシェアを拡大しつつある。
だが、もとはといえばこの市場は日産 初代エルグランドが開拓したもの。しかしいま、そのエルグランドには、かつて月販1万台を超える売り上げを誇った当時の勢いはなく、2022年9月の販売台数は、たったの100台。アルファードの爆売れぶりは、元祖ラージサイズミニバンであるエルグランドとしては、相当に悔しいはず。
しかし、既に12年目を越えた長寿モデルとなってしまっているものの、現行エルグランドの車室内の質感は高く、高級ラージミニバンとしては、アルファードに引けを取っていない。プロパイロット搭載はないものの、360度セーフティシステムやアラウンドビューモニターなど、最低限欲しい先進支援技術も備わるので、装備内容の面で、時代遅れのような印象はさほど感じられないのだ。
今はニーズ違う!? 「走りのミニバン」がヒット要因だと考えた日産
1997年にデビューした初代エルグランドは、「大人数が快適に移動できる空間」というコンセプトがヒットし、飛ぶように売れた。乗員や荷物をたっぷりと荷室に積み込んでも、トラクションがしっかりと得られるよう、後輪駆動をベースとし、リアにはマルチリンクサスペンションをおごるなど贅沢なつくりとなっていた。その点は、当時の評論家やクルマ好きからは「走りのミニバン」と評価され、大好評だった。
2002年に登場した2代目では、FRと4WDの2種類の駆動方式は踏襲しながら、リアにはV35スカイラインや初代フーガにも採用した高性能なマルチリンクサスを採用。リア入力時の乗心地とリアの安定性を高次元で両立し、「走り」へのこだわりをキープ。
ミニバン離れした俊敏な身のこなしで、2トンを超える大きなボディを、3.5リッターもしくは2.5リッターのV6エンジンでグイグイ引っ張っていた。
2世代に渡って「走りのミニバン」をウリにして成功したことで、エルグランドは、2010年登場の現行モデルも「走り」に拘ったモデルで登場。コストを低減のため、駆動方式をFFベースへと切り替え、3.5リッターV6エンジンは継続し、2.5リッターはV6エンジンから直4エンジンへと置き換えられた。
また、低重心化をするために、全高は2代目の1910mmから1815mmへと大きく下げられた。ただ、この全高を低くしたことが、その後のエルグランドの運命を大きく変えてしまうことになる。
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