ラグジュアリースポーツウォッチブームも手伝って、今、ジラール・ペルゴ「ロレアート」が好調だ。昨年末から徐々に需要が高まり、現在は入手困難な状態が続いているという。この状況は販売店にとってどのような影響をもたらしているのか。スリーク新潟の飯田氏にその反響の大きさ、ブームによって増えた新規顧客について語ってもらった。
吉江正倫:写真
Photographs by Masanori Yoshie
細田雄人(クロノス日本版):取材・文
Text by Yuto Hosoda(Chronos-Japan)
2022年11月22日掲載記事
今や空前絶後のラグジュアリースポーツウォッチブームに沸き立つ時計市場。各社から高い防水性能と優れた装着感を両立した薄型ケースに一体型ブレスレットを組み合わせた時計が発売され、一部ブランドに至っては品薄状態が続いている。
インバウンドが見込めないコロナ禍において、“ラグスポ”ブームによる市場の盛り上がりは小売店にどのような影響をもたらしたのだろうか。
2021年10月からジラール・ペルゴの取り扱いを開始
新潟県を代表する時計専門店「スリーク新潟」がジラール・ペルゴの取り扱いを開始したのは2021年10月のことだった。すでに当時、時計市場にはいわゆるラグジュアリースポーツウォッチブームが到来していたが、同社の「ロレアート」に関してはまだ各店舗に在庫がある状況。“まだ購入可能なラグスポ”として密かに人気が高まっている時期だった。スリーク新潟の飯田剛之氏はこう語る。
「弊社でジラール・ペルゴを始めた当初はロレアートが品薄ということもなく、常時在庫を店頭に並べられていました。ジラール・ペルゴというブランド名やロレアートの名前は聞いたことがあるけど、見たことがなかったという人が結構お越しになられましたね」
スリークに限らず、それまで新潟県内では取り扱いがほとんどなかったジラール・ペルゴだが、販売を開始すると早くも反響があったという。
「新規顧客が増えましたね。スリークで扱っている他ブランドにあまり関心がなく、これまで足を運んでいただけなかった方が多くお越しになりました。大体はロレアートが目当てですね」
とはいえ、取り扱い開始から数カ月が経過すると、ロレアートも購入が難しい人気モデルの仲間入りをしてしまう。そのこともあり、スリーク新潟のジラール・ペルゴコーナーの在庫は現在、15本前後に留まっている。そして、その中心も「ヴィンテージ 1945」や「1966」が大半だ。
スリーク新潟のジラール・ペルゴコーナーに置かれた在庫。中心はヴィンテージ 1945や1966で、ロレアートはほとんど置かれていない。ロレアート人気がよく伝わってくる。
「どうしてもロレアートは品薄になってしまいますね。ただ、ロレアート人気によってジラール・ペルゴというブランドの知名度も広がったおかげで、徐々にヴィンテージ 1945なども売れるようになってきました。今はロレアートがきっかけでブランドのファンが増えている段階ですね」
ロレアートがブランドのファンを獲得
ブームには必ず終焉が来る。しかし、一度掴んだ顧客をブランドのファンとして定着させるきっかけとしては十分だ。そして、ブームで顧客となった時計好きをファンにするだけの素地がジラール・ペルゴにはある。
「時計に対する造詣が深くない人でも、ロレアートの人気によりジラール・ペルゴというブランドを知るきっかけとなってくれているのはありがたいことです。今や色んなブランドからいわゆるラグスポが発売されていますが、見た目だけのモデルとは違い、ロレアートは出自が1970年代という歴史やストーリーがあるモデル。その奥深さを知ることでロレアートは他のブランドのラグスポとは一線を画すモデルだということに気付きます。
そして、それらを知っていく過程でジラール・ペルゴというブランド自体の歴史なり、技術力なりを深掘りしていくとジラール・ペルゴは元来トゥールビヨンなどのハイレンジな時計作りにおいての名門ブランドだということにたどり着くのです。
そのことに気付いた人達はロレアートだけにとどまらず、次のモデルとしてヴィンテージ1945などに目を向けている人が増えています。今後を見据えるとロレアート人気はきっかけでしかなく、徐々にジラール・ぺルゴの偉大さ、魅力がもっともっと市場に浸透していくように思えます」
取材に協力していただいたスリーク新潟の飯田剛之氏。1997年入社。スリークの前身となる店舗時代から25年にわたり時計の販売に携わる。
ひと昔前までは、ジラール・ペルゴといえば歴史と技術力は抜群だが、いまいち知名度が伴っていなかった印象がある。しかし、“ラグスポ”ブームをきっかけにロレアート人気が高まった結果、ジラール・ペルゴの認知度は高まり、加えて販売店は新規顧客の獲得に成功した。
加熱しすぎたブームは負の側面も目立ちだが、少なくともロレアートに関しては健全な状況で推移しているようだ。
スリーク新潟
〒951-8063
新潟市中央区古町通6-959-2
TEL:025-210-2511
営業時間:11:00~19:00(火曜日定休)
からの記事と詳細 ( 〝ラグスポ〟ブームは販売店になにをもたらしたか? スリーク新潟にみるロレアート人気の影響力 | 高級腕時計専門誌クロノス日本版 - クロノス日本版 )
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