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Monday, January 30, 2023

巨大書店で戦え!本屋ダンジョン・バトル - オモコロ

apaituberita.blogspot.com

本の迷宮、本屋。

この広大な空間をみんなどうやって楽しんでるのか、気になる!

ライターの岡田悠と申します。人が本屋を歩く様子を観察する「本屋ダンジョン」という企画を昨年開催しました。もっと見たいので、また開催します。

今回の舞台は、こちらの本屋さん。

ワンフロアに1000坪、60万冊以上の本を擁する渋谷随一の巨大書店。まさにダンジョンのような本屋です。広すぎて本屋の地平線が見えそう。

しかしこのお店、建物の再開発に伴い、残念ながら本日、2023年1月31日19時をもって閉店となります。渋谷で長らく愛されてきたこのお店で、最後に感謝を込めてダンジョンしたい!

ワンフロア書店ということで、今回は全員一斉に歩き回ってもらいます。プレイヤーはこちらの3人。

原宿本屋はよく行く。書店で働いていたことも。

恐山本屋はよく行く。作家として本を書くことも。

本をほとんど読んだことがない。

原宿楽しみだな〜。
恐山みくのしんさん、本は読まないですよね。本屋は行くんですか?
いや、付き合いくらいでしか…
岡田付き合いで本屋に?
かなり緊張してます。

書店員さんのご協力のもと、開店前の店内を丸々使わせていただきます。


※以下、敬称略

閉店作業中なので、欠品している棚などもありますが、ぜひ最後まで楽しんでいただければと思います。
岡田ちなみに各プレイヤーには、それぞれ書店員さんがついてもらいます。
贅沢な企画だな。

岡田みくのしんさんには特別に2人の店員さんと、あと僕もついていきます。

警戒されてる?

さらに今回、新システムとして「バトル」を追加!

バトルに勝利して所持金を増やし、最高の本たちを手に入れるのは誰か?

それでは、スタート地点を3箇所からくじで決定し…

店内マップ(文具エリアを除く)

本屋ダンジョン・バトル…

恐山


恐山はマップ左下「医学」エリアからスタートです。

恐山漢方と鍼灸療法の本に囲まれてる。完全にプロ向けの場所に来てしまった。

恐山脳の本とかはちょっと面白そうだけど、見た目的にもう全然予算が足りないと思うんですよね。
やはり専門書は高価なものが多いですよね。
恐山「精神疾患」も興味深いな…。
ご覧になられますか?
恐山いえ、移動します。前回は特定のエリアに長居して時間切れになってしまったので、今回は素早く網羅的に動こうかと。


前回の反省を活かし、スピーディに移動を始める恐山。

ここは「芸術」エリアですね。

恐山音楽か。音楽はよくわからないんだけど、わからないからこそ気になる。あ、これ良さそう。

『世界の音楽大図鑑【コンパクト版】』
[ロバート・ジーグラー (監修), 金澤 正剛 (監修)・河出書房新社]音楽の全歴史を1200点の図版で読む!

恐山どうですか。コンパクト版でこのデカさ。
恐山でも4500円だ。
一冊で予算オーバーですね…。
恐山バトルに勝てば買えるはず。とりあえずキープします。


気になった本は、とりあずカゴにキープ。

恐山あ、これも欲しいな。

『球体関節人形の群像2 ~かたるまなざし~』
[マリア書房] 関節を持ちポーズも様々な球体関節人形。草分け的な作家から次代を担う創り手たちにスポットを当てる。

恐山人形って面白いから。中学生の頃はこんな本ばっかり読んでました。
ユニークな中学生ですね。
恐山この芸術エリアは、なんか病院の待合室を思い出します。掘り出し物がありそうでワクワクする。


初手に専門書を選択し、移動を続ける恐山。このハイスピード移動が、吉と出るか凶と出るか…?

原宿


原宿はマップ右下「実用書」のエリアからスタート。


原宿クイズにファッション、ギャンブル…実用書にも色々あるんだなあ。
クイズは定番の売れ筋ですね。

原宿他にどの辺が人気なんですか?
将棋は人気です。お店で何度かイベントをやったこともありますよ。

『振り飛車年鑑 2022』
[将棋書籍編集部・マイナビ出版]1年間に指されたプロの将棋の中から「振り飛車の将棋のみ」を選んで、棋士の解説つきで350局掲載。

原宿「振り飛車」だけで350局も載ってるの!? マニアックすぎません?
「振り飛車」って、初心者の方にもオススメの戦術なんですよ。だから入り口としてもいいかもしれません。
原宿将棋って興味あるけど、広すぎてどっから勉強すればいいのかわからない。いっそいきなりこういう局所的な戦術から読んでみるのもいいのかも。

原宿「特殊部隊」も実用書なんだ。

『民間人のための戦場行動マニュアル』
[(株)S&T OUTCOMES (著), 川口 拓 (著)・誠文堂新光社] 民間人が戦場で生き残るためのサバイバルマニュアル。

原宿なにがあるかわからない時代だしなぁ…


原宿「もしも銃を突きつけられたら、無抵抗であることが生存率を高める」
相手を刺激しないように…ってことでしょうか。

原宿そうですね。銃を持った相手の前で速い動きをすると、反射的に引き金を引いてしまうそうです。まぁおとなしくしてても死ぬ可能性はあるんですけど。


実用的な知識を蓄えるも、スタート地点から動かない原宿。前回も語りすぎて時間が無くなりましたが、果たして….!?

みくのしん


最後のプレーヤー、みくのしんはマップ左上「学習参考書」コーナーからスタートです。

赤すぎだろ。
岡田赤本に囲まれてる。
怖いわ。

「Z会」の棚?

はい、参考書の定番です。『速読英単語』シリーズは、やはり根強い人気ですね。

大学行ってないから、ここ意味不明すぎる…。

プレッシャーがやばい。ちょっと…

ジャンプしていい?
岡田ジャンプ?
ジャンプ。
岡田ジャンプは大丈夫でしょうか?
はい、開店前ですし…。
よっしゃ。

もう一回いいですか?
岡田なんで?

よし…。
岡田大丈夫かな。

初手ジャンプのみくのしん。本を読まない彼は、一体どんな本屋巡りを見せてくれるのか!?

恐山

その後も恐山は移動を続け、「理工」エリアに到達。

恐山専門書ばっかり見てると、また1 冊で終わりのパターンになってしまう。
前回は『ハエトリグモハンドブック』を買って終わりましたね。
恐山できれば2,000円以内の本を探したいなと…あ、このタイトルいいですね!

『人はなぜ握手をするのか』
[エラ・アル=シャマヒー (著), 大川 修二 (翻訳)・草思社] 握手の起源から現代の握手事情まで古今東西の「握手史」を縦横無尽に考察。

恐山人間はなぜ握手をするのか。確かに…
恐山こういう意外な「なぜか」はやっぱり気になってしまうんですよね。鮮やかな問いを提示されると、つい手にとってしまう。あ、これもそう。

『清少納言がみていた宇宙と、わたしたちのみている宇宙は同じなのか?』
[池内了 (著)・青土社] 清少納言が『枕草子』で描いた「すばる」は現在のわたしたちが観測するものと同じみえ方をしていたのか?

恐山科学者の目で、ということは科学者が書いたんだろうか。古代の科学観なんかも語られてるかもしれない。1800円だし、かなりありですね。キープします。

「問い」がカゴに溜まっていきますね。
恐山本屋には問いが溢れている。

原宿

恐山が移動を続ける一方で、原宿はじりじり前進し、「フェア棚」の前に。


原宿「最後に推したい一冊」。

こちらでは「閉店フェア」を開催していまして…。お客様からのメッセージを掲示したり、文具の一部を50%オフで販売したりしています。このコーナーでは、渋谷店の従業員たちが、推したい本を紹介していますね。


原宿「最後」だけあって、ポップの熱量がすごいなあ。


原宿あ!!!この本!!!

『ストーナー』
[ジョン・ウィリアムズ (著), 東江 一紀 (翻訳)・作品社] 名翻訳家が命を賭して最期に訳した、“完璧に美しい小説”

原宿これは既に読んだ本なんですが、最後に推すとしたら、僕もこの一冊です。

どの辺が好きなんですか?

原宿そうですね…

原宿この小説は、ストーナーという男の淡々とした人生を書いているだけで、なにも劇的な出来事は起きないんですよ。農家出身のストーナーが主人公なんですが、農家を継がずに、大学に行きたいと言う。そしたら、お父さんが「行け」と言う。そのあと好きなことを見つけたり、就職したり、結婚して子供が生まれたり、ストーナーという男のごく一般的な人生が、生まれてから死ぬまで描かれているんですが…

原宿でも、一見その何も起こっていないように思える淡々とした物語が、読んでいくとものすごくドラマチックに感じるんですよね。人間って、そういうものだなと。一見なにも起こっていないようでいて、一人の人間の内面にはとてつもない変化が起こっているんだな、と。

原宿読んだ歳によって、感想が変わるんですよ。最初に読んだ時は30歳くらいだったかな。最近また読んでみた時に、ストーナーの死に方がとても身近に思えたというか、自分もこうやって死んでいくのかも、とはっきりと想像できたんです。

原宿書かれているエピソードは、同じ大学の中にウマの合わないやつがいるとか、全部ちっちゃい話。その小ささこそがリアルなんです。ディティールの積み重なりこそが人生で、生まれたからにはそういう小さな瞬間を味わい尽くしていくしかないのかなと、そういう気持ちになれます。本当に最高の小説だと思います。
帯が書けそうですね。
原宿ところで、誰の声も聞こえてこないけど、もう本屋ダンジョンって始まってますよね?

「持っている本の語り」に時間を使う原宿。誰とも遭遇する気配がありません。

>>次ページ:その頃みくのしんは…

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