工事はコロナ禍の前から遅れが指摘されていた。最大の要因は、南アルプスのトンネル工事に伴う環境問題を巡って続く、JR東海と地元静岡県の対立である。
金子慎社長が静岡工区を念頭に「開業時期に影響を及ぼしかねない」と発言して約1年になる。溝が埋まる見通しは付いていない。
そんな状態にコロナ禍が追い打ちをかけた。中断は緊急事態宣言を受けた対応で、長野工区などが対象だ。長引く可能性もある。
JRは今のところ、2027年に東京―名古屋間を開業する予定を変更していない。
沿線住民の間に開業の遅れは必至との見方も強まっている。地域への影響は大きい。予定通りとは考えにくい状況になった。
JRは、開業までの現実的な見通しを沿線自治体などと共有すべきだ。自治体は、延期も視野に政策を考えていく必要がある。
コロナ禍の移動自粛は、JRの経営に大きな打撃となっている。東海道新幹線の利用者数が落ち込んでおり、リニアの建設を計画通りに進める企業体力を維持できるかが課題となってきそうだ。
リニアは当初、開業目標を25年にしていた。08年のリーマン・ショックによる景気後退で新幹線の利用者が減り、目標を27年にした経緯もある。今回の影響はリーマン以上とみるべきだろう。
南アルプスのトンネル工事は、大井川の水量に影響が出ることを懸念し、河川法の許可権限を持つ静岡県が着工を認めていない。
国土交通省がJRと静岡県の間に入り、有識者会議で環境対策を議論することが決まった。だが今度は、その人選を巡って国と県が対立する事態になっている。
流域住民らはJRに不信感を抱いている。根底には、対策をおろそかにしたまま工期を優先して進めているのではないか、との疑念が拭えないことがある。
住民とJRの対立はこれまで、長野県内でも起きた。工事の本格着手には住民理解が必要としつつ「理解を得たかどうかはJRが判断する」として進めた姿勢は、大鹿村などで批判を招いた。
南アルプストンネルの長野工区では今年、JRが、水源への影響と代替策に関して調査を進める考えを地元に説明している。
リニア建設を取り巻く環境は今後、さらに厳しさを増すだろう。問題の一つ一つと丁寧に向き合うことが、事業の前提となる。
(4月26日)
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April 26, 2020 at 07:22AM
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社説 リニア工事中断 現実的な計画の共有を - 信濃毎日新聞
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