同じガソリンを保管するタンクだが環境が異なる
ガソリンに限らず、危険物を保管するタンクの場合、検査が必要とされている。定期的に構造や内圧の検査を行なうことで、安全性を確保できているかを確認するというのは、当然と言えば当然だ。また耐用年数が決められていることも多い。
クルマの場合はどうだろうか。燃料タンクについてはとくに検査は必要ないし、耐用年数も決められていない。ただしタクシーに採用されているLPGや燃料電池車の水素を溜めるタンクについては耐用年数が定められていて、期限を過ぎると使用は不可となる。
ガソリンの場合、水素やLPGほどは危険でないにしても、ガソリンスタンドではタンクの耐用年数は決められているのに、クルマではなにもないのも不思議ではある。
ガソリンスタンドの場合、タンクは地下にあるので、腐食しやすいうえ、不具合の発見もしにくいというのがある。さらに漏れたら回収するのは至難というか、基本的には無理なので、深刻な土壌汚染につながりやすい。
最近ではタンクの改修費が捻出できず、廃業するスタンドが増えていることは話題によく上るが、実際に今までも年間300件ぐらいの流出事故は起きているというデータもある。
一方、クルマの場合は、少量のみを車内に貯蔵するというのもあるし、漏れなどの不具合が出ても気が付きやすい。また、腐食という点でも、よほど古くて、保管状態が悪くない限りは、内部にサビが出るにしても漏れてくることもあまりない。最近では樹脂製タンクが増えているのも不具合防止という点では有利だ。
そのような状況の燃料タンクをさらに検査するとなると、手間も人員も非常にかさむことになる。目視だけでいいなら車検でいいのだが、タンクの検査は一般的に内圧なども測定することになるから、一般的ではない。同じガソリンを保管すると言っても、まったく環境が異なるというわけだ。
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November 01, 2020 at 05:00AM
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