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Wednesday, May 26, 2021

"祈り"の現代アーティスト・小松美羽と巡る、神秘の国・出雲 - Pen-Online

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ぶらり散策が楽しい「御神門通り」

神々が集う由緒正しい神域に相応しく、整然として清々しい門前通りが続く。

出雲大社参拝のもうひとつの楽しみといえば、御神門通りの散策だ。今回立ち寄ったのは、創業明治40年、縁結び箸で有名な「ひらの屋」。

「ここのお箸は、観光地にありがちな安っぽさがなく、職人さんがしっかりつくっているところがよいんです。私は独身ですが、セットで買っちゃいました」

名入れをし、相手が見つかった際に再訪すれば、もう一方にも名入れをしてくれるという。御縁を願い、また御縁に感謝して、お箸をお土産にいかがだろうか。

ぶらり散策が楽しい「御神門通り」

店内にはさまざまな箸がずらりと並ぶ。

出雲を訪れたなら、やはり出雲蕎麦は欠かせない。「そば処 田中屋」は、出雲大社の正門前に店を構える老舗の蕎麦処。三段の割子(お椀)に濃厚な出汁と好みの薬味を入れて一気に啜る。

「実は、長野松本の藩主が出雲に異動した際、蕎麦職人を連れて行ったのが出雲蕎麦のはじまりなんですよ」と小松の地元長野と縁のある出雲蕎麦に舌鼓を打った。

ぶらり散策が楽しい「御神門通り」

外皮ごと挽いた麺には蕎麦の風味がしっかり感じられ、口の中に広がる滋味深い香りが癖になる。

小松美羽の作品が見られる「ニューウェルシティ出雲」

出雲大社の新庁舎では奉納された作品『新・風土記』を見ることができるが、もうひとつ小松の作品に触れられる場所がある。JR出雲駅から車で数分のところにあるホテル「ニューウェルシティ出雲」だ。龍蛇神や山犬など導きの神獣たちをモチーフとした一連の作品は、力強くもありどこかユーモラスでもある。ホテル内レストラン「くにびき」を利用すれば誰でも見ることができる。

ぶらり散策が楽しい「御神門通り」

小松の作品の主なモチーフである龍蛇神や山犬。

あらゆる場所に息づく神話の世界

「出雲において、出雲大社はもちろん最も重要な場所ではありますが、ぜひその他のスポットにも訪れてみて欲しいです」そう語る小松。「『古事記』や『出雲国風土記』に描かれる神話の世界はあらゆるところに存在するんです。神話は過去のものではなく、進行形で現在にも息づいているのだと感じます」小松が絶賛する、お薦めのスポットを4箇所教えてもらった。

ぶらり散策が楽しい「御神門通り」

岬に立つ白亜の灯台が美しい。

「日御碕(ひのみさき)灯台」

「ここでは圧倒的な自然美と、海に宿るエネルギー、古代出雲との繋がりを感じます」。大和の北西にある出雲は、古来から「日の沈む聖地」として認識されていた。日御碕では、日本海に沈む夕陽の美しさ、険しい岸壁に打ち寄せる波の荒々しさ、海底遺跡の謎など、雄大な自然と古代出雲の神話とが融合した神秘的な美しさを感じることができる。ぜひ灯台からの絶景を眺めてみて欲しい。

「須佐神社」

ヤマタノオロチを退治した英雄神・須佐之男命(すさのおのみこと)所縁の社。「ここに来ると、自然に対する畏怖の念をおぼえます。神聖なだけでなく、どこか怖ろしさを秘めている。それはもしかして、出雲が黄泉の国と繋がっているからかもしれませんね」。緑多い山間にある古社は鬱蒼とした自然に囲まれ、不思議なパワーが宿っている。

ぶらり散策が楽しい「御神門通り」

樹齢1000年の御神木が祀られ、圧倒的な生命のパワーを感じさせられる。その裏手には、小松が夢に見た老木が静かに佇む。

「命主社(いのちのぬしのやしろ)」

2014年の作品『新・風土記』を描くため出雲に滞在していた際、小松が毎日のように通っていたのが命主社だ。本殿の裏に、しめ縄が巻かれた老木がある。制作前夜、小松の夢に頭にしめ縄を巻いた老婆が出てきたという。「お婆さんは優しい顔で笑っていたんです。その時、私はここに呼ばれて描かせてもらっているんだ。安心して描いてよいんだな、と思えたんです」

「八重垣(やえがき)神社」

「八雲立つ 出雲八重垣 つまごみに 八重垣つくる その八重垣に」 これは須佐之男命が新婚生活の初めに詠んだ日本最古の和歌である。その所縁の神社が八重垣神社だ。池に和紙と硬貨を浮かべて占う「縁占い」で有名だが、小松のお薦めはここの狛犬だという。「脆く柔らかい来待石でできた狛犬は半分朽ち果てていて、時代を感じさせる味わいがあるんです」。小松の画にも多く登場する狛犬。ぜひ注目してみたい。

出雲で得たこと

ぶらり散策が楽しい「御神門通り」

古民家での制作風景。

前作『新・風土記』を描く際、小松は出雲大社近くの古民家に滞在していた。銅版画から一転し初めて色を多用した作品を描くにあたって、さまざまな迷いもあったのだという。「あの時は、本当にひとつ一つの色を悩みながらキャンバスに乗せていきましたね。雲の色はこれでよいのか?神社の赤色は?『古事記』や『風土記』を勉強しながら出雲のあちこちを廻り、古の人々がどのように色彩を捉えていたのか、ひとつ一つの色の意味を考えながら作品を描いていきました」

今回も同じ古民家を訪れ、小松はそこで第2弾となる作品を完成させた。出雲の前に訪れたもうひとつの聖地・伊勢では「眼」というモチーフを授かり、その後出雲で色の重要さに気付いたことで新たな境地が開かれた。そのことに感謝し、過去、現在、未来へと繋がる縁、未来永劫続いてゆく命の営みを大切にしたいという祈りを込めて描かれた今作品。

「いまは色を選ぶことに迷いはありません。よい意味で、もうあの頃と同じ画は描けないんです」

作品に描かれた淡く多彩な虹色の光。そこに散りばめられたパールホワイトの光輪は、迷いなき白、色彩の集大成としての純粋な白を表している。

ぶらり散策が楽しい「御神門通り」

日御碕からの眺め。

古来から八百万の神々が集うとされ、数々の神話が息づく神秘の国・出雲。日御碕からふと見上げると、不思議な八雲の間から、あの時彼女が見たような光のシャワーが降り注いでいた。

【関連記事】既存の概念を覆して輝く、いま注目すべき4人の女性たち。

※今回描かれた作品は、6月3日(木)放送 日本テレビ「アナザースカイ出雲編」にて初公開されます。

『アナザースカイ』 

日本テレビ

5月27日(木) 伊勢編 24:59~25:39

6月3日(木) 出雲編 25:09~25:39

アナザースカイ 番組公式サイト

https://www.ntv.co.jp/anothersky2/

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