1980年代のクワトロを彷彿とさせるデザイン
電気自動車のよさってなに? と、訊かれたら、まっさきに「環境にいいところ」と、答える人は多いはずだ。でも、クルマ好きはもうひとつ、よさを知っている。スムーズな加速と静粛性だ。アウディジャパンがついに2021年秋から日本での販売を始めた「e-tron GT」は、まさに4ドアのスポーツカーだった。 試乗したのは、ふたつあるグレードのなかでも高性能版の「RS e-tron GT」だ。全長4990mmのボディに、前後1基ずつの電気モーターを搭載した4輪駆動。合計で、440kWの最高出力と830Nmの最大トルクを発揮する。ベースグレードの最高出力と最大トルクは、それぞれ350kWと640Nmだ。 ホイールベース2900mmのシャシーを共用するポルシェ「タイカン」とRS e-tron GTとを数値で比較すると、390kWと640Nmの「タイカン4S」よりはずっとパワフルで、「タイカン・ターボ」の500kWと850Nmにはおよばない。つまり、まったくおなじクルマではないのだ。 それに、タイカンがルーフとウィンドウグラフィックスを中心に、基本デザインを911からあえて採っているのに対して、e-tron GTは大きく張り出したブリスター型フェンダーなどに、1980年代はラリー選手権などで大活躍した「クワトロ」からのインスピレーションが感じ取れる。アウディ好きはこういうところも嬉しいんじゃないだろうか?
ナチュラルな走り
じっさいに、操縦感覚もけっこうちがう。ひとことでいって、RS e-tron GTにはアウディRSモデルに共通する“味”がちゃんと感じられたのだ。タイカン・ターボほどステアリングがクイックでもないし、乗り心地が硬くもない。すこし“ゆるい”ステアリング・フィールと、快適性がしっかり重視された乗り心地は特徴的だ。 RS e-tron GTは、安定した姿勢でコーナリングが出来るうえ、ボディはゆっくりロールする。まったくボディが傾かないようなスポーツカーともまたちがう、いってみればすこしソフトな味わいだ。このセッティングは私の好み。 RS e-tron GTに乗ってまず感心したのは、こうしたボディの姿勢制御のよさ。それにアクセル・ペダルから力を抜いていったときの減速度合いのコントロールもたいへんナチュラルなのがいい。 以前乗って、SUVの「e-tron」と「e-tronスポーツバック」は、いわゆる“マン・マシーン・インターフェイス”がイマイチな面があった。クルマに慣れていないときは、たとえばコーナリング時、ドライバーである私が感じている以上のスピードでカーブに入ってしまうことがあった。静粛性が高いなど、速度感がリアルに感じられなかったせいもある。 その点、RS e-tron GTはものすごく感覚に沿って走る。加減速時の速度のコントロール性をふくめ、速度や姿勢といった“情報”がしっかりドライバーに伝わるからだ。大きなトルクをむやみに使って音速をめざすような加速感もない。ステアリング・ホイール背後のパドルを操作して、アクセルペダルを離したときにブレーキがもっとも強くかかるようにした場合でも、大きすぎる減速Gが急激に立ち上がってビックリした! なんてこともない。 もちろん、その気になれば、加速力は“おみごと!” の、ひとこと。とくにドライブモード・コントローラーで「ダイナミック」を選んで、アクセルペダルを強めに踏み込むと、加速スイッチが入ったように、周囲のクルマが一瞬で後ろへいってしまうほどの駿足ぶりを味わえる。しかも、加速時も静かなので、運転しているほうが速度計を見て驚く、なんてこともありうる。 おもしろいのは、コンピューターがエンジンサウンドのような合成音を出すオプション(e-tronスポーツサウンド)も選べることで、それがなかなか絶妙だ。もちろん意識して聞けばエンジン・サウンドとは違う音であるものの、快感をおぼえるサウンドにチューニングされている。 RS e-tron GTには、3チェンバー式のエアサスペンションが標準装備されているし、オプションで後輪操舵システムも選べる。おかげで、市街地から高速、そしてワインディングロードまで、どこででもドライビングが堪能できるのだ。
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