通信事業者向けにvRANのマルチベンダー検証サービスを始めた
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)のマルチベンダー検証を行う第5世代通信(5G)ネットワークの構築支援サービスを始めた。2020年から国内で5Gサービスが始まり、各通信事業者がエリアの拡大やサービス品質の向上を図っている。さまざまなベンダーの製品を組み合わせた動作検証を実施することで、通信事業者の設備コストを削減。柔軟なサービス提供を可能にする。
5G投資のうち、無線基地局の設備費用が大きな割合を占める。専用のアプライアンス(特定用途向け)製品ではなく、汎用機器を用いてソフトウエアでネットワーク機能を構成する「仮想化技術」の取り組みが広がりを見せている。当初は交換機の役割を担うコアネットワーク部分から始まったが、近年では基地局で電波や通信を管理するRAN部分においても適用化が進んでいる。
機器調達の選択肢が広がり、設備投資コストの削減が見込めることに加えて、ソフトウエア変更時にハードウエアも同時に取り換える必要がないため、新たなサービスを迅速に提供できる利点がある。
CTCは19年度にvRANに関する取り組みを開始。これまでコアネットワークの検証サービスを提供してきた。今回、基地局の検証サービスを始めるにあたり、同分野に関するノウハウ・経験のある人材を採用。仮想基盤の構築を担当するインフラエンジニアと連携しながら、同社の研究拠点で5GSA(スタンドアローン)の相互接続性検証を進めている。
通信事業者のニーズに応じ多様な製品を検証できるよう、新興ベンダー約10社の製品を比較検討し、これまで取り扱っていなかった製品も新たに採用した。5G関連製品の販売からシステム構築、運用支援まで、一括提供できる体制を整える。
21年度から3カ年の中期経営計画では、5Gビジネスなど、同社が強みを持つ領域での収益性拡大を基本方針の一つに掲げる。今回のサービスについてビジネス目標は非公表としたが、基地局の仮想化分野にも参入したことで、5Gビジネス全体の拡大を目指す方針だ。
今後、vRANが動作する汎用サーバーや仮想基盤、基本ソフト(OS)などを組み合わせた検証環境も構築することで、ハードからソフトまでを網羅したソリューション評価も提供する方針だ。(狐塚真子)
日刊工業新聞2021年12月22日
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