パソコンやスマートフォンなどの普及により、9割の人が「言葉や言葉の使い方が影響を受ける」と考え、うち9割近くが「漢字を手で正確に書く力が衰える」と答えたことが、文化庁の調査で分かった。同庁は30日、2021年度の「国語に関する世論調査」の結果を公表した。調査結果から「手書き離れ」への懸念が高まっていることが浮き彫りになった。
調査は今年1~2月、16歳以上の6000人を対象に、言葉の使い方の課題や新しい言葉の使用、慣用句の意味などを尋ね、約3600人から回答を得た。
「情報機器の普及で、社会における言葉や言葉の使い方が影響を受けるか」については、90・6%が「影響を受ける」と答えた。
そのうち、「漢字を手で正確に書く力が衰える」と回答したのは89・0%に上った。ほかに日本語への影響として、「手で字を書くことが減る」(89・4%)、「長い文章を読むことが減る」(32・3%)などの懸念がみられた。
文化庁では、手書きについて、漢字を覚える上で有効であり、パソコンの文字を適切に変換する上でも重要だとしている。同庁は、「国民の多くも危機感を持っていることが分かった。手書きで学ぶことの大切さも発信していきたい」とした。
一方、新しい言葉の使用では、「正直なところ」を意味する「ぶっちゃけ」は、41・4%が「使うことがある」と答えた。俳優の木村拓哉さんがパイロットを演じた03年のドラマで使われ、広まったとされる。
「なにげなく」を意味する「なにげに」を使う人の割合も47・1%と浸透している傾向がうかがえた。
慣用句の意味についても尋ねた。「姑息」は「一時しのぎ」である本来の意味を知っていたのは17・4%にとどまり、「ひきょうな」と答えた人が73・9%に上った。「割愛する」も、「惜しいと思うものを手放す」と正しく理解していたのは23・7%で、「不必要なものを切り捨てる」と答えた人が65・3%だった。
新型コロナウイルスに関連する言葉の印象も聞いた。外出を避けて家にいる「おうち時間」は69・1%、黙って食事をする「黙食」は64・9%が「そのまま使うのがいい」と回答。一方で、ワクチン接種済みの人の感染を指す「ブレークスルー感染」は、83・9%が説明を付けるか、他の言い方をした方が良いとした。
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