TVerのお気に入り登録者数が、今期放送のドラマのなかで1位になるなど、大きな話題を集めている『いちばんすきな花』(フジテレビ系)。今回は、第5話までを観て気になった部分をピックアップして、深掘りしていきたいと思います。
女が“恋人の女友達”を受け入れられない理由
ゆくえ「そのネクタイ、ダサいよ」
赤田「知ってるー」
ゆくえ「じゃあやめなよ」
赤田「くれたやつ」
ゆくえ「あ、彼女? ダサいって言ってごめんなさい」
赤田「ふふ、いいよ」
ゆくえ「ダサいから嫌だとか、言えないのー?」
第1話、潮ゆくえ(多部未華子)と赤田鼓太郎(仲野太賀)のやりとりを聞いたとき、“恋人の女友達”を受け入れられない理由が詰まってるわ……と思いました。ゆくえが赤田に対して、恋愛感情を持っていないのは分かるんですよ。いい奴だし大好きだけど、恋愛として好きになることはない異性の友人っていますよね。
この問題は、両者の気持ちが分かるだけにしんどい。
わたしは、どちらかというと赤田の婚約者・白石峰子(田辺桃子)に感情移入をしていました。「潮がね」と言っているから、てっきり男の友達だと思っていたのに、女友達だったと知ったときの衝撃。さらに、定期的に2人でカラオケという名の密室に行き、自分には分からない話をしている。おそらく、赤田と出会ったのも峰子よりゆくえの方が先だったんじゃないかな。しんどい、想像しただけでしんどいです。
本編を見る前は、「ゆくえと赤田、どうせなにもないんだから。2人の様子をモニタリングでもしてみなよ。そしたら、安心できるからさ」なんて思っていましたが、冒頭のような会話が繰り広げられているので、峰子からしたら余計に「会うな!」となってしまいますよね。男女の関係があるとかいう以前に、自分よりも恋人のことを分かっていて、なおかつ2人にしか分からない話をしている女が存在することが、苦痛なんだと思います。
ただ、ゆくえの気持ちも分からなくはない。赤田が「(婚約者に)2人で会うなって言われた」と報告したとき「なにそれ、しょーもな」と言ったゆくえには「そういうところが嫌なんだよぉおおお!」と思ってしまいましたが。峰子からしたらゆくえは“敵”かもしれないけれど、ゆくえにとっても峰子は大事な男友達を奪う“敵”なんですよね。ただの友達なんだけど? なんで「会うな」とか言われなきゃいけないの? とムカついてしまうのも理解できます。
しかし、赤田が選んだのは友達ではなく恋人だった。峰子よりゆくえの方が大事だと思ったら、ゆくえではなく峰子と縁を切ってもよかったはずです。でも、赤田はそれをしなかった。ダサいと思いながらも峰子からもらったネクタイを大事そうにつけて、おそろいのマグカップを買って、ハッピーな買い物かごに2人の思い出を詰め込んでいく。2人組を求める人生のなかで、赤田が出した答えはそれだった。ただそれだけのことだけれど、ちょっぴり胸が苦しくなりました。
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