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Wednesday, December 2, 2020

Slackを買収で話題、セールスフォースって何の会社? - 日経ビジネスオンライン

全2795文字

ビジネスチャットサービス「Slack」を手掛ける米スラック・テクノロジーズを277億ドル(約2.9兆円)で買収すると1日(現地時間)に発表したのは、米国のソフトウエア大手のセールスフォース・ドットコムだ。日本でも法人向けに事業を展開してユーザーも多いが、一般的にはなじみが薄い企業でもある。セールスフォースとはどんな会社なのか。10の疑問を基に、その理解を深めていこう。

(写真:AP/アフロ)

Q1:何をやっている会社なの?
Q2:直近の業績は?
Q3:会社の歴史や規模は?
Q4:なぜ急成長しているの?
Q5:経営者はどんな人?
Q6:カスタマーサクセスってなに?
Q7:他に会社の特長はある?
Q8:日本での事業展開は?
Q9:競合するのはどんな会社?
Q10:Slackの買収でこれからどうなる?

Q1:何をやっている会社なの?

 企業向けにクラウド上で顧客情報管理(CRM)や営業支援ができるサービスなどを手掛けている。19年にはデータ分析プラットフォームの米タブローソフトウェアを157億ドル(約1兆6300億円)で買収するなど、積極的な買収を重ねてサービスの幅を広げている。

Q2:直近の業績は?

 連結売上高は2020年1月期に170億ドル(約1兆7700億円)と前の期に比べて28.7%増加。新型コロナ禍でデジタル化の波に乗り、20年8~10月期の売上高は前年同期比20%増の54億ドルと好調が続いている。

Q3:会社の歴史や規模は?

 1999年に米国で創業し、2004年に米ニューヨーク証券取引所に上場。当初の時価総額は16億ドル(約1670億円)程度だったが、直近では2196億ドル(約22兆9000億円)にまで上昇している。単純計算をすると、16年半で企業価値が130倍超に成長したことになる。

 ちなみに日本企業の時価総額トップはトヨタの23兆987億円(2日の終値ベース)で、ほぼ肩を並べる規模になる。急成長した日本企業の代表格であるソフトバンクグループの時価総額と同期間で比較(グラフ参照)すると、その成長力の高さが分かる。

単位:百万ドル。QUICK・FactSetから月次ベースで算出。

Q4:なぜ急成長しているの?

 セールスフォースはSaaS(Software as a Service)企業の先駆けの1社としても知られる。データやソフトウエアを、手元のパソコンにインストールすることなく、インターネット経由で提供し、ユーザーがネットワークにつながっていればどこからでも利用できる仕組みを早期に導入した。

 世界で15万社を超える企業が導入しているが、中小企業も多く活用している。従来のベンダーは初期投資やアップデートのための追加投資が高額になりがちで、中小企業は導入しづらい難点があった。費用対効果を考慮すれば、大企業向けのツールが収益性が高いが、セールスフォースは低額からでも使える価格の設定やサポート体制を整えたことで、競合が取りづらい中小企業の顧客獲得に成功。成長の原動力にもなっている。

Q5:経営者はどんな人?

 創業者でもあるマーク・ベニオフ氏が会長兼CEO(最高経営責任者)を務める。14歳の時に自らアプリケーションを開発して販売した経験を持ち、15歳でビデオゲーム制作会社を立ち上げた。大学時代には米アップルでプログラマーとしてインターンシップを経験し、その後米オラクルに就職。20代後半でバイスプレジデントに昇格し、オラクルのバイスプレジデント最年少記録を作るなど早くから頭角を現していた。

 99年、34歳のときにサンフランシスコでセールスフォース・ドットコムを設立した。IT企業だけでなく、製造業にも広がりを見せつつある「カスタマーサクセス」の概念の提唱者としても知られる。毎年京都の禅寺を訪ねて瞑想(めいそう)するなど親日家でもある。

Q6:カスタマーサクセスってなに?

 従来のカスタマーサポートとは異なり、「顧客の成功」をゴールとして、その実現に向けてサポートする企業姿勢や業務を意味する。セールスフォースは2000年初頭にこの考えを打ち出しており、近年では日本でも導入する企業が増えている。

 サービスや製品を売って終わるのではなく、購入した顧客がサービスや製品を使って成功を収めたかどうかを基準として評価する。

 トヨタ自動車がクルマの「サブスクリプション」ビジネスを始めたように、今や製造業といえども「顧客の継続性」を重要視するようになっている。

Q7:他に会社の特長はある?

 セールスフォースは従業員の行動規範として4つのコアバリューを示す。「信頼」や「イノベーション」「カスタマーサクセス」とともに「平等」を掲げる。

 「働きがいのある会社」調査でも上位にランクインし、従業員に対して「社会貢献」を促す文化も根付いている。その1つが「ボランティア休暇」だ。年間7日(56時間)を特別な有給休暇として認めており、自分の関心のある活動に参加した時間を「通常勤務」としてカウントする。ボランティア休暇以外の時間にも積極的な活動への参加を促しており、年間のボランティア活動時間が長い上位100人には、自分が選ぶ非営利団体に、会社から1万ドル(約104万円)を寄付できる権利も付与される。この制度を活用し、年間300~400時間をボランティア活動に使う従業員もいる。

Q8:日本での事業展開は?

 日本進出は創業翌年の2000年と早い。日本でも企業向けにクラウドベースの顧客管理システムや営業支援ツールの販売を手掛けている。

 今年話題になったのは、船橋市の保健所がセールスフォースを導入した点だ。ファクスで情報をやり取りするアナログな環境を変えるべく、3月に船橋市の担当者がセールスフォースに相談したところ、相談から2週間でデジタル化を果たしたことで注目を集めた。

Q9:競合するのはどんな会社?

 CRM市場の大手でグローバルで競合するのはドイツのSAPや米マイクロソフト(MS)、米オラクルだ。MSは中小企業の開拓にも注力しており、グローバルでの激しい競争が繰り広げられる。今回のスラック買収も、MSとの戦いに向けた補強とも取れる。

Q10:Slackの買収でこれからどうなる?

 新型コロナウイルスによるパンデミックは、世界中で人々の働き方を変えつつある。在宅勤務が一般化する中で、企業のデジタル化は加速していく。コロナ禍で事業を伸ばしたのがMSだ。遠隔でも会議ができるビデオチャットではMSの「チームズ」が利用を伸ばした。企業にとって、複数のSaaS企業のサービスを使うのは合理的ではない。ソフトウェア企業は1つのサービスを軸に顧客企業に入り込むことで、自社が持つ幅広いサービスの利用につなげることができる。一方で、競合からすればサービスの集約で既存顧客も失いかねない。

 セールスフォースはスラックを買収し、チャットツールを手中に収めてMSとの戦いに挑みたい考えのようだ。

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December 02, 2020 at 03:24PM
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