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空想力あふれる絵本を多く 描 き、児童文学のノーベル 賞 と 呼 ばれる 国際 アンデルセン賞を受けるなど、世界の人々に親しまれた、画家の 安野光雅 さん。 昨年末 に94 歳 で 亡 くなって、 約 半年になります。安野さんの作品の 魅力 を、 故郷 の島根県 津和野 町にある、町立安野光雅 美術館長 の 大矢鞆音 さん(83)に聞きました。
安野さんは1926年生まれ。大矢さんは「 非常 に面白い人。そして、とても空想力の 豊 かな人だった」と語ります。そうした安野さんの作品には、津和野で 過 ごした 子供 時代が大きく 影響 しているのでは、といいます。
自然 豊かな津和野は 盆地 で、 周 りを山々で 囲 まれています。そのため、安野さんはよく「山の向こうにはなにがあるのだろう」と 想像 していたそうです。また、絵を描くのが 好 きで、生家の宿屋に 宿泊 客が 置 いていった 雑誌 や本を 情報源 に、表紙や口絵をまねして絵を描いていたといいます。
安野さんは上京して美術教員を 経 て画家となり、68年に『ふしぎなえ』で絵本作家としてデビューしました。この作品は、 迷路 に入っていくと、いつの間にか天地がさかさまになるなど、楽しい 仕掛 けがたくさん 詰 まった絵本です。
その後も、 独特 のアルファベットと絵を対で描き、安野さん自身が「自分の代表作」と語っていたという『ABCの本』や、 風景 の中に動物が 隠 れている『もりのえほん』など、遊び心あふれる本を次々と生み出しました。
海外での人気も高く、84年に受賞した国際アンデルセン賞ほか、国外で数々の賞を受けています。世界中で広く受け入れられた理由を、大矢さんは、「発想の面白さを 表現 した 完成度 の高さ。そして、文字がなくとも 感性 に 訴 える力があったから」だと語ります。
安野さんのすごさは「空想力」「表現力」「集中力」「 持続 力」にあるといいます。空想を表現するには表現力が必要、それを 具体的 に描くには集中力がいる、そしてそれを続ける持続力が求められますが、「この流れがしっかりしていて、とにかく勉強家。本をたくさん読んでいて、知らないことはなかった」そうです。
数学のように一見 難 しいテーマでも、「 簡単 なことから 順序 立てて考えていけば 理解 できる」と言っていたそうです。『はじめてであうすうがくの絵本』では、数学の考え方の道理がわかりやすく 解説 されています。『天動説の絵本』では、天動説が物語仕立てで 紹介 されるなど、作品の 幅 広さに 驚 かされます。
全9 冊 のシリーズ『旅の絵本』は、とんがり 帽子 をかぶった旅人が、イギリスやイタリアなど、様々な国を旅する様子を描いたものです。風景をそのまま描くのではなく、その国の 歴史 や出来事が 織 り 込 まれています。そこには「人々の 営 みを描きたい」という思いが込められています。
大矢さんはNHK 出版 に 勤務 していたとき、88年 刊行 の画文集『安野光雅の「ファーブル 紀行 」』の 編集 を 担当 して 以来 、安野さんと交流を深めてきました。安野さんの 誘 いで美術館 設立 に 携 わり、現在に 至 っています。美術館は今年3月、開館20周年を 迎 えました。
安野さんは子供たちに「自分の力で考える」ことの大切さを伝えていたそうです。まっさらな目で見えない世界を見ることや、 先入観 なく物事を考えること。そのためにも、本をたくさん読んで、 興味 のあることを 追求 することが大切です。安野さんの本は、空想の大切さ、知ることの楽しさを 私 たちに教えてくれます。
安野さんが作品で 伝 えたかった「自分で考える」ということは、いつの時代においてもとても大切なことです。いま、ネットリテラシーの問題など、その 必要性 はどんどん高まっており、大学 入試 でも 重視 されています。安野さんはそうした力を、本を読み、じっくり考えることで 養 いました。今回の 取材 を通して、 僕 も今まで以上に本を読んで、考える力を養っていきたいと思いました。(中野)
★企画者・ 中野和貴 記者(中2)、 塚原瑠奈 記者(高1)、 橋本奈帆 記者(中1)、 高庄愛優香 記者(小6)
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からの記事と詳細 ( 豊かな空想絵本に…安野光雅作品の魅力美術館長に聞く - 読売新聞 )
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