著名人の方々にネトフリでお気に入り作品を訊く連載シリーズ。
「高校生の頃からずっと韓国ドラマが大好き」というホラン千秋さんが登場。そんな筋金入りの韓ドラファンのホランさんが今推したい韓国ドラマは、『恋慕』『マイネーム: 偽りと復讐』『D.P. -脱走兵追跡官-』です。(ネトフリ編集部)
ホラン千秋
タレント・キャスター・女優
1988年東京都生まれ。アイルランド人の父と日本人の母をもつ。5歳よりモデルを始める。青山学院大学卒。現在は「Nスタ」(TBS)、「SONGS OF TOKYO」(NHK)をはじめ、バラエティ・報道番組などで数々のレギュラー番組に出演するほか、新聞でも連載をもつ。
公式サイト/公式ブログ/公式Instagram@chiakihoran_official/
至極の三角関係ここにあり『恋慕』
私の推し韓国ドラマ1本目は『恋慕』です。この作品は、韓国ドラマの王道です。時代劇とロマンスを掛け合わせたものなんですけど、私はこの組み合わせが大好きなんですよ。
ある双子が王家に生まれるんですけれども、お兄さんが死んでしまうんですよね。なので、お兄さんの代わりに妹が女であることを隠して、男として王位継承者として生きていくという話です。男女逆転がありつつ、そこで恋が芽生えていくっていう、宮廷ロマンスなんです。
イチャイチャしているシーンが多いんですけど、全て美しいんですよね。時代劇だから衣装も煌びやかだし、俳優さん女優さんたちも麗しいですし、「なんだ!? この幸せな時間はー!」って思わせてくれます。これは本当に時代劇ロマンスの至極の作品だと思います。
女であることを隠して王になるべくして生きているフィという女の子。その先生的な役割を果たしているジウンをロウンが演じています。そして、このフィの従兄弟かつジウンの親友として出てくるのが、ナム・ユンスが演じるヒョンなんですけれども……この3人の三角関係が良いんです。やっぱり三角関係なしには韓国ドラマは語れないじゃないですか。もう三角関係が大好物なんです(笑)。
フィとジウンは、幼いころからの初恋の相手なんですよね。なんだけれども、大人になって再会する時には、それは隠してるんですよ。ジウンがそばで支えるのであれば、ヒョンは一歩引いて遠くから彼女の幸せだけを考えてお守りいたしますというタイプなんです。フィとジウンがどのような結末を辿るのか、またヒョンがどのようにしてフィを支えるのかという部分も見てほしいです。この三角関係が本当に最高なの。
そして、このドラマはキスシーンが多くて、どれも美しいんです。ちょっともうヨダレが出てきちゃったんですけど(笑)。本当に素敵なシーンがたくさんあるので、ロマンス好きな方は「お待たせしました、これです次は!」っていう感じです。
ジウンは、フィのそばにいて守ってあげたいっていうタイプなんですよ。ちなみに、フィが女の子だということは気づいていないので、「男なのに男にときめいていいの?」みたいなシーンもあって。そこがまたかわいいんですよね。
あるタイミングで、もちろんフィもずっと男だということを隠してはいられないので、「実は女なんです」ということをジウンに打ち明けるんですよ。それに対してジウンにフィが「恨んでいる?」って聞くんですよね。そしたらジウンは「恨んでます」って言うんですけど、それはフィを恨んでいるんじゃなくて、そんな大変な重い責任をあなたひとりに背負わせてしまったこと、それに気付けなかった自分を恨んでいますと。そんな深い愛ありますー?もう思わず崩れ落ちました。博愛の精神、深い愛、いいシーンでしたね。
ヒョンもまたフィを想ってるんですよ。フィを男として好きなのか、女として好きなのかは、ぜひ作品を観て確かめていただきたいです。ヒョンは、彼女のことを思うと踏み込めないんですよね。彼女が悩んじゃうかなみたいなことがあると、好きな気持ちを伝えられないんですよ。片や想いを伝えるジウンと、片や彼女のためを思って一歩引くヒョン。もうこれがね、哀しい恋の二番手の運命ですね。随所でフィに対する深い愛情は表れているんですけどね。
例えば指輪を渡すシーン。なんとも言えないですね……。あれは「愛していますよ」っていうヒョンなりの意思表示なんだけれども、もらったフィが困らないように、ちゃんとケアをしてあげるっていう。
「ヒョンかな? でもジウンなのかな? 私だったらどっちなんだろうな……?」っていうのをやるのが楽しいんです。本当にそれはぜひ皆さんにやっていただきたい。もうそれがこの作品の醍醐味です。
もちろん恋の三角関係も見逃せないんですけど、もうひとつ、とても素敵な関係が描かれているのが、ジウンとジウンのお父さん。ジウンはお父さんをすごく尊敬していて、お父さんみたいになりたいって小さい頃は思っていたんですけれども、あることをきっかけにお父さんを信じられなくなってしまうんですね。
そして、大人になるにつれてお父さんとの対立は避けて通れなくなるんですよ。王様であるフィを守るために。そうなったときに、ずっとわだかまりがあって、絶対に理解できない、許せないと思っていた父親をいかにして受け入れるのか、理解するのか、そのプロセスがとっても美しいので、その親子の関係性についてもぜひ見ていただきたいなと思います。
私の推し韓国ドラマ2本目は『マイネーム: 偽りと復讐』です。『わかっていても』のハン・ソヒがとても好きなんですけど、そのときとは全く違う、すごくかっこよくて芯の強い女性のキャラクターを演じていると聞いて観始めました。
『マイネーム: 偽りと復讐』は、ハン・ソヒが単独主演なんですけど、高校生のときに目の前でお父さんを誕生日に殺されてしまうんですよ。その殺した相手は誰なのか?っていうことを突き止めたい、突き止めたら復讐したいっていう気持ちに駆られます。そこで頼ったのが麻薬組織のボス・ムジンなんですけど、その麻薬組織の助けを借りながら名前を変えて強くなって、どうもお父さんを殺した犯人は警察にいるんじゃないか、という情報を頼りに警察に潜入して、その父親を殺した人は誰なのかというのを追い求めていくサスペンスに溢れたとても深いドラマです。
とにかくアクションが格好いいんですよ。警察と麻薬組織の抗争を描く作品ということもあるので、緊迫感に満ちたシーンがたくさんあるんですけど、そのなかでもアクションがとても見どころです。
ハン・ソヒは、ジウという女の子の役で、全く格闘技もやったことないし、護身術も知らないし、でも父親を殺したのは誰なのかというのを突き止めるために、どんどんボクシングだったり護身術っていうものを学んでいくんですけど。その過程が痛々しさもあり、厳しさもあり、だけれども強くなった時のハン・ソヒの目の強さであったり、芯の強さみたいなものがすごく感じられるところまで大変身を遂げるんですよね。ハン・ソヒがアクションをバッチバチに決めるっていうカッコ良さが際立っているんですよね。
すごく人間くささがたくさん出ている作品だなって思うんですよ。その人間くささが出るのが複雑な人間関係というか、キャラクターの関係性のなかに出てくるんですけど、外せないのは麻薬組織のボスのムジンなんですよ。
ムジンは、お父さんを殺したのが誰か知りたければ強くなれって言って、ジウを育てるわけなんですよ。でもジウは麻薬組織のなかの一構成員なんですよね。ムジンとしては他の構成員と同じように扱わなきゃいけないけども、やっぱり特別な気持ちがあるんですよ。恋人でもない、娘でもない、でもどちらでもあるみたいな。荒々しさのなかに眠っている優しい部分みたいなものを、ジウに対してだけは見せるところが、すごく激アツなんですよね。
ジウがカモミールティーを作って水筒に入れて持っていくシーンがあるんですけど、最初は全然つれないっていうか、「なんだ、これ?」みたいな感じなんですよ。でも麻薬組織のアジトに帰ったときに、その水筒に入ったカモミールティーを飲むっていう……。「なんだ、そのギャップ!?」っていう。かわいらしすぎますよね。この子の笑顔を守ってあげたいっていう優しい部分が垣間見える瞬間がすごく美しくて切ないんです。
ジウは警察に潜入すると、名前をヘジンに変えるんですね。そのヘジンと、皆さんご存知『梨泰院クラス』のチャンガの息子役をやっていたアン・ボヒョン演じるピルトとのケミが最高なんですよ。
ヘジンは大変な過去があるので、とても心を閉ざしたキャラクターで、誰に対しても笑顔で接さず頑なな態度なんですけど、ピルトはそれをこじ開けるでもなく、だけど常にヘジンを「信頼しているよ」「味方だよ」って言い続けて優しく寄り添うんですけれども、もうそのふたりが美しすぎて「なんなの!? このふたりは〜!」っていう。ピルトとヘジンが最終的にどうなるかは、ぜひ皆さん見届けてください。
とても苦しい重い作品なんですけど、そのなかで唯一ピルトという救いが居たことによって、ヘジンが少しふっと笑う瞬間があったりするので、その笑顔を見逃さないでいただきたい。このケミは必見です。
私の推し韓国ドラマ3本目は『D.P. -脱走兵追跡官-』です。『ある春の夜に』というドラマが大好きなんですけれども、その作品に出ているチョン・ヘインさんが主演を務めて、さらにテーマとしては軍隊ものです。ただ、軍隊そのものを純粋に描くというよりは、軍を脱走してしまった脱走兵を追跡して捕まえるというテーマで、ユニークだなと思って観始めました。
チョン・ヘイン演じるジュノが、兵役ということで軍隊に入るんですけれども、そこで脱走兵を追跡して捕まえる「D.P.(Deserter Pursuit)」という部署に配属になるんですよ。だからわかりやすく言うとバディものなんです。ジュノと、ク・ギョファン演じるホヨルがふたりでタッグを組んで脱走した兵士を捕まえにいくストーリーです。
もちろん軍隊なので、辛かったり理不尽なことがあったりするんですけど、そのなかでやっぱり脱走にまで至ってしまう人たちは、その人その人全然理由が違うんですよね。「なぜ脱走したのか?」 「その背景には何があるのか?」というところを掘り下げると、とても胸をえぐられるようなエピソードがたくさんあります。
ジュノは家庭環境とかあって、世の中を諦めているところがあります。いつも淡々としていて、すごく空虚な目をしているんですよ。理不尽な目に遭っても、そこに対して怒りや悲しみを感じることがなくて、常に“無”っていう感じなんです。そんなジュノが、人のためになるとすごい熱い目に変わるんですよね。仲間であったり、守れなかったものであったり、何かそういう瞬間に感情が目に宿って、そのコントラストがとても美しいなと思います。
一方、ホヨルはどこか飄々としていて、ちょっとおとぼけというか、おちゃらけたりすることもあるんですよね。このふたりの凸凹コンビが脱走した兵士を捕まえに行くときに、すごく良い化学反応を起こすんです。シリアスな内容なんですけれども、ホヨルがいることでジュノとの対比がとてもコミカルになる瞬間があるので、ぜひこのチームワークを皆さんに味わっていただきたいなと思います。
軍隊なので何よりも規律、上下関係みたいなものが大切なわけです。規律は確かに大事だけども、規律を破ることになっても、こっちの選択の方が正解なんじゃないだろうか、という選択を迫られることが多々あるんですよね。
とくに象徴的なのが、ある兵士がおばあさんのために脱走するんですけれども、そのおばあさんにはある事情があって、そのおばあさんを守らなきゃいけないっていう理由がその兵士にはあるんですよ。そうなったときに、その兵士を見つけて辿り着くんですけど、そこでジュノとホヨルはじめD.P.メンバーはどんな選択をするのか? 規律と人間としての正しさの狭間で揺れるチームの葛藤をぜひ観てもらいたいです。とても美しいエピソードなんです。
バディものが好きな方は、絶対にこの作品がお好きだと思うんですよね。とてもシリアスで重たい作品なんですけど、人間にはいろんな理不尽があって、人生どうにもならないときがあるけれども、だからこそ見えてくる人間の美しさであったり、尊さであったり、命の大切さであったり。「人間の根源的な大切なものって、これだよな」ということに気づかせてくれる瞬間がたくさんあるんです。
『D.P. -脱走兵追跡官-』シーズン1は計6話で、韓国ドラマを観たことがない人にも入りやすいコンパクトなサイズになってるんですよ。でも韓国ドラマ好きとしてはもっと続きが観たいじゃないですか! なんとシーズン2が出るっていうのがこの間発表されまして、私としてはもう喜々としているんですけれども、いろんな任務をこなして、少しずつ感情みたいなものを取り戻したジュノのがシーズン2でどんな任務をこなして、最終的にどんな人に変わって兵役を終えるのか、っていう部分まで描かれるのかどうかわからないんですけど……。今のは私の勝手な妄想です(笑)。そこを見届けたいなと思っていますので、シーズン2に向けてぜひこのシーズン1を観て、気持ちを高めてもらいたいなと思います。
Photo : Masakazu Sugino
転載元:Netflix note
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