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Friday, July 15, 2022

オミクロン株BA.5の特徴は? 違いはなに? 感染力・重症化率は? - 朝日新聞デジタル

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 7月に入って新型コロナウイルスの流行が急激に拡大し、専門家は「第7波に入った」と警戒を呼び掛けています。第7波到来の原因とみられているのが、オミクロン株BA.5という系統のウイルスです。これまで流行していたオミクロン株BA.2と何が違うのか、ワクチンの効果や重症化リスクはどの程度で、再感染の可能性はあるのでしょうか。Q&Aにまとめました。

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【質問一覧 オミクロン株とは・上】

  • Q.5:BA.5に対するワクチンや薬の効果は?
  • Q.6:BA.5のどんな点が懸念されているの?
  • Q.7:BA.5が流行する中で、どう対応すればいい?
  • Q.8:BA.5の後はどうなるの?

Q.1:オミクロン株BA.5はどんなウイルス?

南アで2月にみつかり、春から世界各地で拡大

A:新型コロナウイルスのうち、世界保健機関(WHO)が「懸念される変異株」に分類している変異株、オミクロン株の仲間です。2022年2月に初めて南アフリカ共和国から報告され、今年春ごろから世界各地で広がり始めました。国内の第7波を引き起こした主な原因とみられています。

 国内ではいったん減った新規感染者数が6月中旬ごろから増加に転じ、7月に入って急増しています。7月12日までの1週間で、全国の新規感染者は前の週の2.14倍に増えました。1日あたりの新規感染者数が過去最高を記録する県も続出しています。最も感染者数の多かった第6波を超えるのも時間の問題というほどの勢いです。

第7波がきた新規陽性者数
厚労省サイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html)のデータをもとに作成

 オミクロン株は、昨年11月にボツワナと南アフリカで初めて報告された変異株です。当初、世界的に流行したオミクロン株は、国際的なウイルス分類法により「BA.1」と呼ばれる系統の仲間でした。2022年に入り、変異の起きた場所が少し異なるオミクロン株BA.2が世界的に主流になり、国内でも今年5月には、オミクロン株のほとんどがBA.2に置き換わりました。このため、第6波は、新規感染者数が完全に下がり切らないまま推移しました。そこに今度はBA.5が入ってきて、第7波が始まったと考えられています。

 BA.5は、2022年2月に南アフリカ共和国から初めて報告されました。その前月に、同じく南アフリカから初めて報告されたBA.4と共通する変異が多く、南アフリカでは同時期に両方が流行したため、この2種類は一緒に解析されることが多いです。BA.5は、国内では5月に空港の検疫で初めて見つかりました。

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Q.2:BA.5への感染はどれぐらい増えている?

すでに半数はBA.5 8月第1週には100%置き換わりか

A: 都内で新たに見つかるウイルスの半数はすでにBA.5とみられます。国立感染症研究所は、8月第1週には新型コロナウイルスのほぼ100%がBA.5に置き換わると推定しています。

オミクロン株の広がり方

 東京都健康安全研究センターが解析した新型コロナウイルスのうち、BA.5が初めて検出されたのは5月24日~30日の週でした。その後、解析するウイルスのうちBA.5の占める割合は急増し、7月14日現在で56.4%に達しました。都内で6月に解析されたウイルスに占めるBA.5の割合は24.8%だったので、急増しているのがわかります。

新型コロナ変異株の変遷

 感染研は、民間検査機関が解析した新型コロナウイルスの遺伝情報を分析し、7月第1週の全国の新規感染の36%、首都圏の1都3県では57%がBA.5によるとみられると推計しました。これまでのような増加傾向が続けば、8月第1週には、ほぼ100%がBA.5になると推計しました。

国内のBA5の広がり予測

 国外では、南アフリカ共和国に限らず、BA.2の後に、BA.4とBA.5の両方が増え始めた国が少なくありません。しかし、BA.4よりもBA.5の方が広がる速度が速いとみられ、今はBA.5が主流になりつつあります。

 米国では、BA.4とBA.5が今年4月中旬からほぼ同時期に増え始めました。5月7日までは、解析された全ウイルスに占める比率がBA.4の方がわずかに多かったのが、5月8日の週にBA.4は1.0%、BA.5は1.1%と逆転しました。7月3~9日の週にはBA.5は65.0%、BA.4は16.3%になりました。5月以降、いずれも急増しましたが、BA.5とBA.4の差は大きく広がりました。

米国内のBA5の広がり方

 各国の政府や研究機関などが新型コロナウイルスの遺伝情報を解析した際に、その情報を登録する「GISAID」と呼ばれる国際的なウイルス分類組織があります。世界保健機関(WHO)がそこへの登録を分析したところ、6月19日~7月7日の2週間に登録された件数に占めるBA.5の比率は42%から50%に増えました。同じ期間に登録されたBA.4の比率も増えたものの、11%から14%でした。

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Q.3:BA.5の感染が広がる速さは?

これまでのBA.2より、1.3倍速く広がると推測

A: これまで流行していたBA.2の1.3倍ほど速く広がるのではないかと推測されています。

 英国健康安全保障庁は6月24日に公表した報告書で、BA.5は、これまで流行していたBA.2よりも1.35倍速く感染が広がると推計しています。京都大学の西浦博教授らは、厚労省の専門家会議で7月13日に発表した資料で、BA.5はBA.2よりも1.27倍速く感染が広がると推定しています。

 BA.5の感染の広がり方が既存のオミクロン株よりも速い理由はまだわかっていません。少量のウイルスで人への感染が確立する、あるいは人の体内で増殖する速度が速いなど、色々な可能性があります。

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Q.4:BA.5に感染すると重症化しやすいの?

デルタ株などに比べ重症化しにくいが、高齢者のリスクは高い

A:WHOは、BA.5がこれまでのオミクロン株より重症化しやすいという証拠はないとしています。オミクロン株以前に流行していたデルタ株などに比べれば、一般的には重症化するリスクは低いとみられます。ただし、高齢者や持病のある人などは、デルタ株などと同様、重症化のリスクが高いとみられます。

 WHOは7月6日に公表した報告で、最初に流行したオミクロン株BA.1に比べ、BA.5が重症化しやすくなったという証拠はないとしています。国内でこれまで流行していたBA.2もBA.1と同じぐらいの重症化率とみられていますので、BA.5はBA.2とも同じぐらいの重症化率と言えます。

 英国健康安全保障庁も、6月24日に公表した報告書で、これまで流行していたオミクロン株よりBA.5が重い症状を引き起こすという証拠はないとしています。

 一方、東京大学医科学研究所の佐藤佳教授らが5月に公表した、専門家による評価を受ける前の論文によると、BA.2とBA.5の特徴をそれぞれ持つ疑似ウイルスをハムスターに感染させる実験行ったところ、BA.2疑似ウイルスに感染したハムスターの体重は減らなかったのに対し、BA.5疑似ウイルスに感染したハムスターは体重が約10%減りました。

 ハムスターの感染実験で、体重の減少は、重症化しやすさをみる一つの指標です。ただし、ハムスターの結果が、そのままヒトにも当てはまるかどうかはわかりません。

 また、人間の場合、動物とは異なり、ウイルスそのものの病原性だけで重症化するかどうかが決まるわけではありません。ワクチン接種や感染によって新型コロナウイルスに対してある程度の免疫ができていますし、重症化を防ぐ薬も登場しています。

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【オミクロン株BA.5とは(下)】はこちら

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  • 大岩 ゆり
  • 大岩 ゆり(おおいわ・ゆり)

    科学医療ジャーナリスト・翻訳家

    朝日新聞社科学医療部専門記者(医療担当)などとして医療と生命科学を中心に取材・執筆し、2020年4月からフリーランスに。同社在籍中には英オックスフォード大学客員研究員や京都大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師を兼任。主な著書に『最後の砦となれ~新型コロナから災害医療へ』、主な訳書にエリック・カンデル著『芸術・無意識・脳』(共訳)がある。

  • この連載について / ワクチン接種Q&A

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