菅総理は3日、「コロナ対策と選挙活動の両立はできない」として、自民党の総裁選に出馬しないことを明らかにしました。
総理の発言を受けて、自民党内は早くも、ポスト菅、そして第100代・総理大臣の座をにらんだ、様々なうごめきが始まっています。
ジャーナリスト・後藤謙次さんに話を聞きます。
(Q.昨日から一転しての不出馬表明、何があったのでしょうか?)
後藤謙次さん:「臨時役員会前に行われた二階幹事長との会話を取材しました。同席者が『なぜ不出馬に変わったのか?』と聞いたところ、菅総理は『気力を失った』と答えたといいます。さらに、同席者が『裏で揺さぶっている人がいるのでは?』と聞いたところ、菅総理は沈黙したといいます。この時、実名は出ていませんが、安倍前総理と麻生副総理が同席者の念頭にあった。この2人は菅総理に対して、総裁選で支持する条件に、二階幹事長の交代をずっと挙げてきました」
(Q.安倍前総理と麻生副総理は、菅総理の再選を支持しているとされていました。どういうことですか?)
後藤謙次さん:「総裁選の日程が決まってから、安倍前総理と麻生副総理は沈黙を守っていました。そこで二階幹事長を切れと。菅総理からすれば、たった1人だけ、菅総理を明確に支持した人です。その後ろ盾の交代を求められてしまった。2日に奇妙なことがありました。退任を求めた二階幹事長に菅総理が相談に行くという、ちぐはぐな状況が生まれました。そこで菅総理は行き場を失ってしまったんじゃないかと思います」
(Q.人事を刷新して、総裁選を勝ち抜いて、総選挙に打って出るイメージでしたが、なぜ、投げ出すようなことになってしまったのでしょうか?)
後藤謙次さん:「総裁選前に人事をやるのは異例です。総裁として、次の人事は自分に任せてくれと言った時に、反対者が出てきて、人事そのものができなくなる可能性もあります。菅総理は今週、解散をやらないと言った。人事でも反対を受けた。総裁選でも勝てる見込みがない。しかも、すぐに総選挙がある。ここで混乱を収めるため、最後に残された自分の名誉を守るため、不出馬を表明したんだと思います」
各派閥やこれまでに名前が挙がっている人たちは、どんな動きをしているのでしょうか。
政治部与党担当の河田実央記者に聞きます。
河田実央記者:「3日夜に動きがあったのは財務省です。麻生派トップの麻生財務大臣がいるところに、麻生派の幹部議員らが集まりました。麻生派に所属する河野行革担当大臣が、すでに出馬の意向を固めていますが、麻生派幹部らは反対していて、その対応をめぐって協議していたようです。麻生派は一枚岩とならないかもしれませんが、河野行革担当大臣に対する支持は、若手を中心に、派閥横断的に広がっていくと見られています。
河野行革担当大臣の状況を見て、出馬に二の足を踏んでいるのが、石破元幹事長です。石破陣営は、議員票では岸田前政調会長が持っていって、党員票では河野行革担当大臣が持っていってしまっては、勝ち目がないと見ています。ただ、石破元幹事長は、二階派の一部の議員が担ごうと躍起になって動いていて、出馬に踏み切る可能性があります。
同じく二階派の支援を期待しているのは、野田幹事長代行です。野田幹事長代行は出馬の意欲を直接、二階幹事長に伝えました。二階派幹部は「推薦人があと少し足りないという状況までいけば支援してもいい」と話しています。二階幹事長としても、石破元幹事長を推すのか、野田幹事長代行を推すのか、状況を見極めているとみられています。
判断が注目される安倍前総理は、次の総裁候補として高市前総務大臣の名前を挙げていたことがあり、党内では、高市前総務大臣を支援してはどうかという話も出ている状況です」
(Q.麻生派が、河野行革担当大臣の出馬を反対しているのはなぜでしょうか?)
後藤謙次さん:「麻生副総理は一貫して『まだ早い』と言い続けています。我々から見るところ、河野行革担当大臣が総裁候補になってしまうと、麻生派の代替わりが起きてしまうことを避けたいという思いがあります。麻生派の一部は岸田前政調会長の支援に回る可能性があります」
(Q.石破元幹事長と野田幹事長代行に関しては、二階派の動きが気になりますね?)
後藤謙次さん:「野田幹事長代行はスタートラインに立てそうです。石破元幹事長には派閥を越えたファンがいます。もしかしたら、二階幹事長は双方に議員を貸し出すことがあるかもしれません」
(Q.候補が乱立した場合、最初に名乗りを上げた岸田前政調会長はどうでしょうか?)
後藤謙次さん:「今回、地方党員票が大きなウェイトを占めます。岸田前政調会長はそこで遅れを取る可能性があります」
(Q.総選挙が控えている選挙の顔を選ぶということも大事ですね?)
後藤謙次さん:「今回、派閥があまり動かず、若手を中心にして、自分たちの生き残りが基準になります。どの船に乗れば生き残れるのか、皆が思案します。安倍前総理と麻生副総理も含めて、自分の派閥はこっちだと言える状況にないので、誰が地方党員票を集めるかに焦点が集まると思います。自民党全体としては、野党側の存在感を消すため、オールスター総裁選にすることでメディアジャックに成功すると思います」
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