新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴って仕事が在宅勤務になり、仕事がやりやすくなって心身に好影響が出たという人もいる一方、在宅勤務で体調を崩してしまったという人もいます。長期にわたる在宅勤務で体調を崩してしまう人とそうでない人の分かれ目となる要因について、南オーストラリア大学で人材管理について研究するキャロル・クーリック氏らが解説しています。
Thinking about working from home long-term? 3 ways it could be good or bad for your health
https://theconversation.com/thinking-about-working-from-home-long-term-3-ways-it-could-be-good-or-bad-for-your-health-141374
COVID-19のパンデミックに伴う在宅勤務への移行は慌ただしいものでしたが、IBMのシンクタンクがアメリカ人を対象に行った調査では75%がパンデミック終息後も在宅勤務を希望していたほか、日本能率協会の調査でも在宅勤務者の8割が終息後も在宅勤務を継続して欲しいと望んでいることがわかっています。しかし、長期的な在宅勤務が健康に悪影響を及ぼすこともあるとして、クーリック氏らは在宅勤務が健康にいいか悪いかを決める「3つのポイント」を挙げています。
◆1:在宅勤務時の運動量が十分かどうか
在宅勤務中は家にあるスナックを簡単につまむことができてしまう上に、通勤で体を動かすこともなくなるため、在宅勤務中に体重が増えたという人も多いはず。また、休憩時間も明確に定まっておらず、オフィス内を少し歩いて同僚と相談するといった作業もなくなるため、イスに座ったままPCを何時間も見つめ続けることも増えます。
スクリーンを長時間見つめすぎると網膜にダメージが及ぶ可能性があるほか、体に合っていないイスに座り続けると背中の痛みやストレスを引き起こすこともあるとのこと。長時間座り続ける生活が人々の健康や寿命に悪影響を与えるとの研究結果も数多く発表されており、在宅勤務では運動不足が大きな課題となるとクーリック氏は指摘。
しかし、在宅勤務中でもこまめに休憩を取って体を動かすことは可能です。時には家事や犬の散歩をしたり、あるいは階段の上り下りやストレッチなどの運動をしたりすることで、在宅勤務中の運動不足を解消できます。企業は在宅勤務中の従業員が運動不足にならないように作業スケジュールを管理し、適度に休憩を取るように促すソフトウェアなどの導入で、運動不足解消を支援することが可能だとのことです。
◆2:在宅勤務で自由な時間が増えるのか、それとも勤務時間が増えるのか
在宅勤務では通勤する必要がなくなるため、一般的には通勤分の時間と費用が浮くと考えられています。この通りであれば在宅勤務は2つの点で従業員の生活の質を向上させるといえますが、クーリック氏によると話はそう単純なものではないとのこと。
クーリック氏は「通勤の見落とされがちな貴重な機能」として、通勤は従業員が仕事と私生活を切り替えるための時間を提供していると指摘。特にサービス業や高度なプロフェッショナルが求められる仕事において、仕事モードと私生活モードをうまく切り替えることは非常に重要だそうです。
在宅勤務によって通勤の時間がなくなるとこの切り替えがうまくいかず、仕事と私生活の境界がぼやけてしまう可能性があります。その結果、仕事のストレスが私生活にまで波及したり、仕事モードに入るのに失敗して削減された通勤時間以上に作業時間が増えたりする場合もあるとのこと。長時間労働はストレスの増加や睡眠時間の減少、高血圧などを引き起こしかねないため、問題は深刻といえます。
この問題を解決するため、クーリック氏は在宅勤務中に「通勤の代わりとなる移行期間」を設けることを提案しています。机に座って仕事を始める前にしばらく家の周囲を散歩したり、仕事を終えて夕食を作る前に瞑想したりすることで、仕事と私生活の境界をハッキリさせることができます。また、企業側も従業員がどの時間帯に働いているのかを把握し、業務時間外の電子メールや電話への対応について明確にするべきだとクーリック氏は主張しました。
◆3:仕事に集中できると感じるか、それとも孤独だと感じるか
自宅で仕事をすると同僚や上司によって仕事が中断されることがなくなるため、人によっては「会社で仕事をするより自分の仕事に集中できる」と感じるケースもあります。また、家族と一緒に過ごす時間が増えたことで、自分だけでなく家族全員にとっても利益を与えられる場合もあるとのこと。
しかし、全ての従業員がルームメイトや家族と親密な関係を築いているわけではなく、会社における同僚との交流に大きく助けられているという従業員もいます。実際に、オフィスでちょっとした雑談を交わす従業員はよりポジティブな感情を経験し、同僚を手助けし、良好な精神状態で仕事ができるという研究結果も出ています。
オフィスでの雑談を在宅勤務で再現することは難しく、中には在宅勤務の間に強い孤独感を覚え、気分の落ち込みや不眠などの悪影響が出る可能性もあるとのこと。そこでクーリック氏は、企業が「バーチャルカフェ」などの非公式な相互作用空間を提供し、従業員同士の相互作用を促進するなどの手助けをすることも一つの解決策だと指摘。また、「週4日は在宅勤務を行い、1日は出社する」など、在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドな勤務体系を推奨する(PDFファイル)研究結果も挙げています。
在宅勤務そのものが健康によい又は悪いという問題ではなく、従業員自身が時間の使い方を見直し、企業が適切なサポートを行うことで在宅勤務はより有益なものになります。従業員が仕事のスケジュールや場所を選択する幅が広がると、心理的・身体的なメリットに加えて生産性の向上も見込めるとクーリック氏は述べました。
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