KDDIは、こどもの職業・社会体験施設「キッザニア」を運営するKCJ GROUPと連携し、未来を担うこどもたちが楽しく学べる教育体験機会の創出をさまざまなかたちで応援している。これは「KDDI Sustainable Action」というSDGsへの取り組みのひとつだ。
そういった活動の一環として2021年12月、キッザニア初のSDGsパビリオンとなる「キッザニアSDGsセンター」がオープンした。
2030年までに世界の貧困をなくし、年齢や性別・人種・宗教・民族などで差別されることなく、地球環境を大切にし、よりよい世界を実現するという目標を掲げ、2015年の国連サミットで採択された「SDGs」(持続可能な開発目標/Sustainable Development Goals)。「キッザニアSDGsセンター」は、こどもたちが楽しみながらSDGsについて考えるきっかけを得るための場所である。
KDDIはこのパビリオンと連動する形で「資源のリサイクル率問題」について考えてもらう展示スポットを設置。さらに、より多くのこどもたちにキッザニアにおける「エデュテインメント」(楽しみながら学ぶこと)を体験してもらえるよう「こどもの学び応援プログラム」の提供も行ってきた。
「キッザニアSDGsセンター」で、こどもたちはどのような体験ができるのか。そして「こどもの学び応援プログラム」でできることなど、「キッザニア」とKDDIによるSDGsにまつわる新しい動きについて紹介していこう。
SDGsパビリオン「キッザニアSDGsセンター」での体験とは
「キッザニアSDGsセンター」での体験「アクションラリー」の流れを紹介しよう。
まず、「キッザニアSDGsセンター」でこどもたちはスタッフから、キッザニアがこどもたちの手によってつくられた“こどもが主役の国”であることのレクチャーを受ける。
そして、キッザニアのキャラクターたちとともに地球の課題について考えるための冊子「未来を変える!アクションラリー」を受け取る。
※画像はイメージです。
この冊子にはキッザニアのキャラクターたちが登場し、それぞれのプロフィールが詳しく紹介されている。たとえば「ウルバノ」は電子機器が好きな9歳の男の子。新しい技術でみんなが幸せになってほしい一方で、壊れた機械や使わなくなった道具が有効利用できるような世の中になればいいなと考えている。
冊子を読み進めると、ウルバノは「携帯電話がしっかりリサイクルされているかどうか」が気になっていることが描かれ、それに基づいたクイズが出題される。
ほかにも食いしん坊のバッチェは食品ロス問題について気にしているなど、キャラクターはみんなそれぞれに課題感を持っている。
キッザニアに遊びに来るこどもたちと同年代のキャラクターたちが、身近な地球の課題を出発点としたクイズとして投げかけてくるのだ。
クイズは全部で8問あり、こどもたちは冊子の選択肢のうち、答えだと思うものにシールを貼る。
すべてのクイズの答えを自分なりに予想したうえで、こどもたちは「キッザニアSDGsセンター」を飛び出し館内に点在する8カ所のSDGs展示スポットを巡る。展示スポットではクイズの正解がわかるだけではなく、各課題に対してどのような取り組みが行われているかを知ることができる。
こちらはKDDIの展示スポットだ。展示を見ると、KDDIによる携帯電話のリサイクル(再資源化)率が業界平均をはるかに上回っていることと、その秘密、そして資源を適切にリサイクルすることの大切さがわかる。
展示を見学してクイズの正解をチェックしたら、こどもたちはもうひとつの問いに答える。それは「今後、自分がその課題解決のために、どのようなアクションに取り組みたいか」だ。
展示スポットに置かれたスタンプの中から自分が選んだアクションと同じ色のスタンプを冊子に押す。
課題解決のための自分のアクションを決めてスタンプを押すからこそ「アクションラリー」なのだ。
最後に「キッザニアSDGsセンター」に戻り、自分がいちばん解決したいと感じた課題をひとつ選び、それに対して自分はどんなアクションに取り組むかの宣言を記入する。
「キッザニアSDGsセンター」での「未来を変える!アクションラリー」は、単なるスタンプラリーではなく、身の回りの課題に対して、こどもたちが積極的に自分の姿勢を見つけ出すための小さな旅でもあるのだ。
キッザニアはSDGsを象徴する施設
このSDGsパビリオンでこどもたちになにを伝えたいのか。日本国内でキッザニアを運営するKCJ GROUP副社長の宮本美佐さんに話を聞いた。
KCJ GROUP副社長の宮本美佐さん
「キッザニアには建国のストーリーがあるんですが、これがSDGsと合致する考え方なんです。大人が解決してこなかった問題だらけの世界を、こどもたちが自分たちの手でよりよいものにしようと立ち上がって『こどもが主役の国』をつくったのがはじまりなんです。
世界をよりよいものにしていくとき、これからそうした課題に直面していくのはいまのこどもたちです。だからこそ、まずなにより、こどもたちは世界を取り巻くさまざまな問題を自分ごと化する必要があります。そして、自分ならどうするかを自分で決めていくことが重要です。
そのため、キッザニアがこどもたちを主役としてSDGsに取り組んでいくのは、自然な流れだといえます」
SDGsの概念や知識について、大人や社会は一方通行で教えてしまいがちだが、それではこどもの自分ごと化は進まない。今回の「アクションラリー」では、いかにこどもたちが自分から問題に取り組むかを重視したという。
そこで大活躍しているのがキッザニアのキャラクターたちだ。
「地球を取り巻く課題が、彼らの日常とつながっているようにしたんです。課題はキャラクターたちが好きなものと地続きになっていて、興味の範囲の延長線上にある。ゲーム好きなこどもはウルバノの問題が気になるだろうし、お花が好きなこどもはビータが気にしていることに共感する。
クイズに答えるだけでなく、どのような取り組みが行われているのか、自分で展示スポットに見つけに行く。そこで自分なりの取り組み方を考えてスタンプを押すのが重要だと思っています」
では、パビリオンを体験したこどもたちから寄せられた声を紹介しよう。
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「学校でやったSDGsに興味があったから自分でもやってみたいとキッザニアに来た」(4年生・男子)
「ビニール傘がたくさん捨ててあって困るから、僕は今後傘を大事に使おうと思う」(5歳・男子)
「今日からごはんを残さず食べる」(3年生・女子)
「コロナ禍をはじめとして、これまでの常識が通用しないようなことが起きたとき、こどもたちが自分の足で立って自分で考えて乗り越えていく。そのための『生きる力』をキッザニアは育みたいと考えています。
そして、ここでいろいろな体験をしたこどもたちが、将来新しい仕事を生み出すジョブクリエイターになってくれることが私の夢です」
施設に来られなくても体験できる オンラインでの学び
もちろん、キッザニア自体もSDGsを実践すべく運営を行ってきた。2021年2月からスタートした「キッザニア オンラインプログラム」では、コロナ禍においてオンラインを活用し自宅で仕事体験や仕事についての学びの機会として提供してきた。
プログラムのひとつは「おしごと見学プロジェクト」。本物の仕事現場の360度動画で、ベテラン社員による新人研修を体験できる。いままで体験することができたのは、明治6年に創業された日本の靴メーカー・ムーンスターの靴工場での独自の靴の製造工程や、KDDIが災害時などに臨時に出動させて通信ができるようにするための車載型基地局の設営、そしてキッザニア東京での館内見学などだ。
もうひとつのプログラムは、道具から仕事を学ぶ「おしごと道具図鑑」。私たちの生活で使われているさまざまなものが生み出される工程を「道具」に着目。ボルトとナットをつくる「切削」の仕事、スーツをつくる「縫製」の仕事、和太鼓づくりの仕事など体験を提供してきた。
※キッザニア オンラインプログラムは、今後リニューアルを予定しております。
KDDIこどもの学び応援プログラムとは
「KDDIこどもの学び応援プログラム」は、コロナ禍の長期化により、通常授業以外のさまざまな催しや行事が中止されるなか、こどもたちの教育体験機会をサポートし、より良い学びの場を提供するためにKDDIがKCJ GROUPとともに行っている取り組みだ。
このプログラムでどのようなことができるのか説明しよう。
まず、このプログラムだけの特別な「キッザニア オンラインワークショップ」を体験することができる。
全国どこからでもZoomで参加でき、「仕事を学ぶ」体験ではキャビンアテンダント、声優、デザイナーの仕事を用意。それぞれ現役のプロたちが仕事の裏側について教えてくれる。
また「社会を学ぶ」体験では、いま日本や世界で起きている貧困問題に対して、自分たちになにができるかを参加者とともに考えることができる。
そして、キッザニアをより深く楽しむことができるオフィシャル会員サービス「KidZania Professional(キッザニアプロフェッショナル)」に加入するとアクティビティの事前予約ができたり、バースデープレゼントがもらえたり、メンバー限定のアクティビティに参加できたりと、盛りだくさんの体験が付いてくるのでぜひチェックしてみてほしい。
KidZania Professional(キッザニアプロフェッショナル)
また、キッザニア施設に実際に来場したこどもたちが、どんなことが得意でどんな能力を秘めているのかの発見につながるアセスメント診断も提供している。
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- Kidzania Proffesional(キッザニアプロフェッショナル)について
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- KDDIこどもの学び応援プログラムについて
こどもたちがさまざまな体験をする機会を創出するために
「KDDIこどもの学び応援プログラム」を提供することで、KDDIはなにを実現しようとしているのか。このプログラムを担当している山下潮に聞いた。
KDDI サービス統括本部 教育事業推進部 山下潮
「KDDIは、多くのこどもたちに学校の授業だけではない教育体験を提供したいと考えています。2019年には国立極地研究所とともに期間限定で『南極研究所』のパビリオンを出展し、2021年からは『通信会社』のパビリオンを出展することで、通信インフラの大切さをこどもたちに伝えようとしてきました。
KDDIの仕事に直接関わることだけではなく、こどもたちに未来の先端技術を体験してもらえるよう、キッザニアの施設がない地域では、地方自治体と連携して『アウト オブ キッザニア』という出張版のような取り組みも行っています」
左・2020年1月「アウト オブ キッザニア in 滝沢」では先端技術を体験する「XR Door」を提供。右・2021年11月「アウト オブ キッザニア in やまぐち」ではパラボラアンテナを組み立てる仕事体験を提供
そしてKDDIは、KCJ GROUPとともに2020年から「こどもの学び応援プログラム」をスタート。キッザニアへの無料招待や、なかなか現地に来られない全国のこどもたちにオンラインプログラムの提供を行ってきた。
「この施策は「KDDI Sustainable Action」における「次世代の育成」の一環として、実施しています。
新型コロナウイルス拡大により、外出自粛や全国各地でのイベントなどが中止となり、こどもたちが校外でさまざまな学び体験を得られる機会が継続的に減少しているという課題があります。私たちができることはなにかを考えたとき、楽しみながら『生きる力を育む』というキッザニアの体験をKDDIが提供することにより、社会の持続的成長実現に貢献するということでした」
2020年8月に「キッザニア東京」でわれた「プレミアムズコンサート オンライン」はKDDI総合研究所の独自技術「音のVR」のコンテンツとして公開された
「今のこどもたちが大人になる時代には、技術進化により現存する職業の約半数がなくなっていると言われています。KDDIでは、1次産業におけるICT活用やMaaSなどの未来の街づくりに必要な技術開発を進めており、職業・社会体験ノウハウを有するKCJと、ICT技術を有するKDDIとの共創によって、今のこどもたちに、未来の職業体験や技術体験を提供して、こどもたちが将来を考えるきっかけ創りができたらよいなと思います」
こどもたちの「生きる力」を育むためにつながり続ける
KDDIはKCJ GROUPと今後も連携し、さまざまなお仕事体験や先端技術の提供などを行っていく。こどもたちが持続可能な社会を実現できるよう、自ら行動を起こし、世界とつながっていけるよう、行動していく。
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